
目次
加齢とともに気になる目元の変化。特に「下まぶたのたるみ(袋まぶた)」は、老けた印象を与えるだけでなく、目元の疲れや影クマの原因にもなります。
では、この下まぶたのたるみはどのように進行するのでしょうか?最新の解剖学的研究によって、脂肪の前方突出や皮膚・筋肉の変化が関与していることが明らかになっています。また、近年では上まぶたの手術(眼瞼下垂手術)が下まぶたの位置に与える影響についても注目されています。
今回は、目元のたるみの進行メカニズムと、効果的な治療法・予防策についてわかりやすく解説します。
1. 下まぶたのたるみはどのように進行するのか?
下まぶたのたるみ(クマ)は、年齢とともに進行する現象ですが、その過程には4つのステージがあることが研究によって判明しました。
| 特徴 | 組織の状態 | 年齢の目安 | |
|---|---|---|---|
| ステージ0 (健常) |
クマはなし | 脂肪は後方に位置し、眼窩隔膜(まぶたの支持構造)、眼輪筋(目の周りの筋肉)、皮膚が厚い | 若年層(30代前半まで) |
| ステージ1 (軽度) |
クマははっきりとは認めないが、脂肪が前方にわずかに突出 | 眼窩隔膜の厚みは中程度、眼輪筋の突出は最小 | 40代~50代 |
| ステージ2 (中等度) |
わずかにクマを認める | 脂肪と眼輪筋が前方にドーム状に突出、眼窩隔膜は中程度の厚み | 50代~60代 |
| ステージ3 (重度) |
典型的なクマが明確に形成される | 脂肪の重度の前方突出、眼窩隔膜が薄くなる
|
60代以降 |
このように、加齢とともに 脂肪の前方突出→眼窩隔膜の薄化→筋肉や皮膚の変化という順序で進行していくことが分かります。
2. なぜ下まぶたのたるみが起こるのか?
研究では、以下の要因が下まぶたのたるみに関与していることが明らかになっています。
-
眼窩脂肪(目の下の脂肪)の前方突出
- 眼窩内の脂肪は、本来「眼窩結合組織ネットワーク」によって支えられています。
- しかし、このネットワークが加齢によってゆるむと、上部の脂肪が下方へ移動し、下部の脂肪が前方に押し出されることで、クマが形成されます。
-
眼窩隔膜(脂肪を支える膜)の薄化
- 眼窩隔膜は脂肪の前方突出を防ぐ最初のバリアです。
- 加齢とともにこの膜が薄くなることで、脂肪を支えきれなくなり、たるみが進行します。
-
眼輪筋と皮膚の変化
- 眼輪筋は目の周りを囲む筋肉で、加齢とともに菲薄化(薄くなること)します。
- さらに、皮下組織の減少やコラーゲンの減少によって、皮膚のハリが失われることで、たるみが目立つようになります。
-
骨の萎縮
- クマの下の骨が萎縮し、ふくらみが強調されるようになります。
このように加齢に伴う変化が主原因ですが、実は「上まぶたの状態や手術」が下まぶたの見え方に影響を与えるケースもあります。
3. 眼瞼下垂手術と下まぶたの位置の関係
眼瞼下垂手術(上まぶたの手術)を受けた後、下まぶたの位置が上がる(MRD2の短縮)ことが研究で明らかになっています。
-
MRD2とは?
- 瞳孔の反射光点から下まぶたの縁までの距離です。これが短くなると下まぶたが上がる状態になります。
-
なぜ変化するのか
- 上まぶたと下まぶたは密接に連携しており、上まぶたを大きく持ち上げると、下まぶたがそれに追従したり、眼輪筋のバランスが変わったりすることで位置が変化します。
-
リバース眼瞼下垂(Reverse Ptosis)
- 手術後、下まぶたが上がりすぎて目の縦幅が狭く見えたり、涙の流れが悪くなったりする状態を指します。
このように目元は全体でバランスを取っているため、下まぶたのたるみを考える際には、上まぶたの状態も無視できません。
4. 下まぶたのたるみを改善する治療法
症状の進行度や目元全体のバランスに応じた適切な治療法を選ぶことが重要です。
(軽度~中等度)
- 目の下の凹みを改善し、影を減らすことでたるみを目立たなくする
- 効果は6ヶ月~1年程度持続
(軽度~中等度)
- フラクショナルCO2レーザーを使用し、皮膚のコラーゲン生成を促進
- 当院にある、FotonaのSP Dynamisを使用。眼窩隔膜を引き締める効果を期待できる
- たるみの進行を抑える効果が期待できる
(中等度)
- 結膜側(まぶたの内側)から脂肪を取り除く
- ダウンタイムは少ないが、骨の萎縮を改善させることができない
いわゆる
「表ハムラ、裏ハムラ」
(中等度~重度)
- たるんだ脂肪を適切な位置に移動し、目元のハリを回復
- たるみと影クマの両方に効果的
- 裏ハムラは皮膚のたるみを改善させることができないが、表ハムラは皮膚のたるみも改善させることができる
また、上まぶたの眼瞼下垂手術を行う際に、下まぶたのゆるみや外反(外側に反り返る状態)が懸念される場合は、同時に「canthoplasty(下まぶたの引き締め手術)」などを併用することで、より理想的な目元を目指すことができます。
5. 下まぶたのたるみを予防するには?
たるみの進行を遅らせるために、日常的なケアが重要です。
- 日焼け止め(SPF30以上)を毎日使用
- サングラスや帽子で紫外線を防ぐ
- レチノールやビタミンCを含む美容液を使用
- 保湿を徹底し、コラーゲンの減少を防ぐ
- 禁煙(喫煙は皮膚の老化を加速させる)
- バランスの良い食事(タンパク質・ビタミンを摂取)
- 適度な運動(血流を促進し、皮膚のターンオーバーを改善)
6. まとめ
- 下まぶたのたるみは、脂肪・膜・筋肉・皮膚・骨の複合的な変化で進行する
- 上まぶたの手術が下まぶたの位置(MRD2)に影響を与える「リバース眼瞼下垂」という現象もある
- 進行度や全体のバランスに合わせ、注入・レーザー・手術(ハムラ法など)を選択する
- 日々の紫外線対策やスキンケアが予防の鍵となる
かつむらアイプラストクリニックでは、上まぶたと下まぶたの相互作用まで考慮した、専門的な目元治療を行っています。「最近、目元が気になる」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
参考文献
Kakizaki et al: Progress of Baggy Eyelid: An Anatomical Study. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2025 Jan 6.
Joohyun Kim et al: Intraoperative Significance of Lower Eyelid Positions in Levator Advancement to Prevent Overcorrection. J Craniofac Surg. 2022 Jul-Aug;33(5):1563-1565.
Kim J et al: Changes in Lower Eyelid Positions After Blepharoplasty and Levator Advancement Surgery. J Craniofac Surg. 2022 Sep 1;33(6):e626-e628.
Park J et al: The Effect of Upper Aging Blepharoplasty on Upper and Lower Eyelid Position. J Craniofac Surg. 2018 May;29(3):747-750.




