
おでこのシワ・たるみは、加齢や紫外線による皮膚の変化だけでなく、眼瞼下垂や眉毛下垂によって目立つことがあります。まぶたが開けにくいと、無意識に眉を上げて目を開こうとするため、前頭筋(おでこの筋肉)が繰り返し収縮し、横じわが深くなることがあります。
そのため、おでこのしわを改善するには、しわだけを見るのではなく、「まぶたが下がっているのか」「眉が下がっているのか」「皮膚そのものがたるんでいるのか」を見分けることが重要です。
本記事では、おでこのしわができる原因や眼瞼下垂との関係、セルフチェック、原因別の治療方法、眼瞼下垂手術/眉下切開/生え際切開前額リフト(前額リフト)の選び方をお伝えします。
「最近、おでこの横ジワが深くなった!」「眉が下がってきて、目が重い!」「おでこをマッサージしても、結局戻る!」という方はぜひご覧ください。
おでこのしわ・たるみができる5つの原因

- 加齢・紫外線などによる皮膚の老化(光老化)
長期の紫外線曝露は、しわ・弾力低下など“光老化”を起こし、皮膚のコラーゲン構造にも影響します。¹ スキンケアの中では、紫外線対策が一番大切です。 - 前頭筋を使いすぎる(表情・癖)
驚いた顔、目を見開くクセなどで前頭筋が頻回に働くと、横ジワが刻まれます。 - 眼瞼下垂による「前頭筋の代償」
眼瞼下垂になると、視界を確保するために眉が上がりやすくなります。 挙筋腱膜前転後に眉の位置が下がる(代償が解除される)ことが多いとする報告もあり、重症度と関連したとされています。² つまり額のしわが「代償」なら、根本は“まぶたの開き”にあります。 - 眉下垂(眉が低くなる)
眉が低い方は、目が重く見えます。外側のかぶさりが強くなる方もいます。 このタイプは、まぶた側だけでは限界が出やすく、前額リフトが理にかなう領域です。 - 乾燥・摩擦などで細かいしわが目立つ
小ジワ(ちりめんジワ)は乾燥で増えます。ここはスキンケアの出番です。 ただし、眉の位置や眼瞼下垂は構造の問題なので、セルフケアだけで根本解決するのは難しいのが現実です。

おでこのしわが深くなる人に共通する“クセ”
おでこの横ジワは、前頭筋(おでこの筋肉)が動くことで刻まれます。 ただし、問題は“表情のクセ”だけではありません。
① まぶたが下がって見えにくい
→ 眉を上げて見えやすくする(前頭筋の代償)

② 眉が下がってきた(眉下垂)
→ 眉を持ち上げようとして額に力が入る


つまり、額のしわは「結果」で、原因は「眉・まぶた」にあることがある、ということです。
【セルフケア】おでこのしわにマッサージは効くのか?
【結論】軽いケアは否定しないが、根本は治りません

ネットで検索すると、「おでこをマッサージしましょう」 「頭皮をほぐせばリフトアップします」 「筋トレでたるみが治ります」など、いろいろ出てきます。
しかし、これは本当に正しいのでしょうか。
ここで、私がいつも使う例えです。
「伸びてしまった下着のゴム紐を、マッサージやトレーニングで短くできますか?」
難しいですよね。
顔のローラーを使った研究では、短時間使用で皮膚血流が増え、長期介入で血管反応性の変化が示された報告があります。³ つまり、「むくみ」「循環」「肌コンディション」に一定の意味がある可能性はあります。
一方で、眉の位置や眼瞼下垂のような“土台”の問題を、マッサージ単独で長期に戻せる、という強い根拠ではありません。 むしろ、強くこする・引っ張るは悪化要因になり得ます(皮膚は引っ張れば伸びます)。
セルフケアで現実的に狙えること
- 乾燥・摩擦対策(浅い小ジワの予防)
- むくみやこわばりの軽減
- しわを「増やし続ける要因」を減らす生活習慣(紫外線、睡眠、眼精疲労など)
セルフケアで難しいこと
- 眉の位置を上げる
- 眼瞼下垂を治す
- 額の下垂そのものを戻す
ここは医療(とくに手術)が主戦場です。
注射・機器治療(ボトックス/ヒアルロン酸/HIFU等)はどこまで効果がある?
額のしわが「動きジワ(表情ジワ)」主体なら、ボツリヌストキシンは選択肢になります。 ヒアルロン酸はボリュームロスが主体の方に合うことがあります。機器治療は引き締めの補助です。
ただし、眼瞼下垂の代償が強い方にボツリヌストキシンを強く効かせると、「目が開けづらい」「眉が下がったように見える」などが起こり得ます。 結局ここでも大事なのは、眉・まぶたを含めて診ることです。
【3分で分かるセルフチェック】あなたはどのタイプ?

鏡の前で確認してください。
- 眉は高いですか?低いですか?
・高い:代償の可能性
・低い:眉下垂の可能性 - 眉を指で軽く押さえて(おでこを動かさずに)目を開けるとどうですか?
・目が開けづらい/黒目が隠れる → 眼瞼下垂が関与しやすい - 上まぶたの皮膚は厚い(腫れぼったい)ですか?
厚い/被さりが主体 → 眉下切開が合うことがある
※これは目安です。最終判断は診察で行います。
3つの治療方法
あなたに合う治療は、基本的に以下の3つのどれかです。
- 眉毛が高い位置にあり、まぶた自体も下がっている
+ まぶたの皮膚が厚くない
→ 眼瞼下垂手術 - 眉毛が高い位置にあり、まぶた自体は下がっていない
+ まぶたの皮膚が厚い(腫れぼったい)
→ 眉下切開 - 眉毛が低い位置にある(眉毛下垂)
→ 前額リフト(おでこリフト)
その中でも当院では、再発(後戻り)を抑える観点から、症例により生え際切開の前額リフトを重視します。⁶

当院の方針はシンプルです。短期的に楽そうな治療より、長期的に形が持つ治療を重視します。
① 眼瞼下垂手術(眉が高い+まぶた自体が下がっている)

このタイプは、額のしわが「代償」のことが多いです。 つまり、額を止める前に、まぶたの開きを回復させるのが合理的です。 挙筋腱膜前転後に眉の位置が低下したことを報告した研究もあります。²
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② 眉下切開(眉が高い+まぶた自体は下がっていない+皮膚が厚い)

美容クリニックで「とりあえず眉下切開」を勧められる方は多いです。 しかし私は、眉下切開が全員にとって良い手術とは考えていません。 理由はシンプルで、傷が目立つ場合があるからです。
そのため当院では、まず眼瞼下垂手術が適するかを考え、眼瞼下垂が向いていない方に、眉下切開を提案します。
アジア人における眉下切開(subbrow blepharoplasty)の有用性を示す報告があります。⁴ また、より広い切除設計(extended infrabrow excision blepharoplasty)を多数例で報告した論文もあります。⁵
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③ 前額リフト(眉が低い=眉下垂)

眉が低い方は、問題の中心は「額の下垂=眉の土台」です。 この場合、まぶた側だけを触っても限界が出ます。ですから、前額リフトを検討します。
内視鏡と生え際切開(pretrichial open)の長期比較では、どちらも眉を有意に挙上し評価されています。⁶ また、内視鏡と冠状/生え際アプローチは、少なくとも1年では挙上が同等とする報告もあります。⁷
当院の考え方として、再発(後戻り)を抑える観点から、生え際を切開する前額リフトを重視します。
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眼瞼下垂手術・眉下切開・前額リフトの選び方

- 眉毛が高い位置にあり、まぶた自体も下がっている、皮膚が厚くないなら
→ 眼瞼下垂手術 - 眉毛が高い位置にあり、まぶた自体は下がっていない、皮膚が厚いなら
→ 眉下切開 - 眉毛が低い位置にあるなら
→ 前額リフト(おでこリフト)(必要なら生え際切開を重視)
最後に(患者さまにお願いしたいこと)
ネットには、正しい情報もあれば、正しいとは言い切れない情報もあります。 私としては、まず診察で状態を正確に評価した上で、あなたにとって一番良い方法を提案し、一緒に決めていきたいと思っています。
ですので、診察の際は、いったんフラットに私の話も聞いていただけますと幸いです。
引用文献(PubMed)
- Fisher GJ, et al. Pathophysiology of premature skin aging induced by ultraviolet light. N Engl J Med. 1997. PMID: 9358139
- Kokubo K, et al. Evaluation of the eyebrow position after aponeurosis advancement. J Plast Surg Hand Surg. 2019. PMID: 30676851
- Miyaji A, et al. Short- and long-term effects of using a facial massage roller on facial skin blood flow and vascular reactivity. Complement Ther Med. 2018. PMID: 30477852
- Lee D, Law V. Subbrow blepharoplasty for upper eyelid rejuvenation in Asians. Aesthet Surg J. 2009. PMID: 19717059
- Ichinose A, et al. Extended infrabrow excision blepharoplasty for dermatochalasis in Asians. Arch Facial Plast Surg. 2011. PMID: 21931087
- Gülbitti HA, et al. Long-Term Evaluation of Endoscopic and Pretrichial Open Forehead Lifts: A Morphometric Analysis. Plast Reconstr Surg. 2022. PMID: 35653546
- Dayan SH, et al. The forehead lift: endoscopic versus coronal approaches. Aesthetic Plast Surg. 2001. PMID: 11322395




