
「二重切開をしたいけれど、どのくらいの幅にすればいいのか分からない」「平行型と末広型、自分にはどちらが合うのだろう」——このように、手術そのものよりも“デザインの決め方”で迷っている方は多いのではないでしょうか。
二重切開の仕上がりは、術式の巧拙だけでなく、幅と形をどう設計するかで大きく変わります。そして、まぶたの厚みや目の開き具合、皮膚のたるみといった一人ひとりの解剖には個人差があり、同じ幅で切開しても見え方は同じにはなりません。
この記事では、二重切開(重瞼術)における幅と形の決め方を、まぶたの専門医師の視点で解説します。かつむらアイプラストクリニック(JR浦和駅西口)はまぶたの手術を年間1,800件前後行っており、そこで大切にしているデザインの考え方もあわせてご紹介します。
二重の幅や形は何で決まる?

二重の見え方は、切開する高さ(デザインした線の高さ)だけで決まるわけではありません。まぶたの皮膚の厚み・眼窩脂肪の量・上まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の働き・目の開き具合など、複数の要素が組み合わさって最終的な幅が決まります。
実際、若年アジア人女性を対象とした研究では、術後1年の見かけの二重幅は、切開した幅そのものだけでなく、眼瞼挙筋の働き・皮膚と眼輪筋の厚み・まぶたの組織の厚み・年齢と関連していたと報告されています¹。同じ高さで切開しても、まぶたが厚い方と薄い方では見え方が変わるということです。
だからこそ、「何ミリで切る」という数字だけを先に決めるのではなく、そのまぶたなら術後にどう見えるかを予測しながら設計することが重要になります。
平行型と末広型の違いは?どちらが向いている?

二重の形は、大きく平行型と末広型に分けられます。
- 末広型:目頭側で二重の幅が狭く(あるいは蒙古ひだに入り込み)、目尻に向かって幅が広がる形。日本人にもともと多いタイプです。
- 平行型:目頭から目尻までほぼ同じ幅で二重が入る形。目元がはっきりとした印象になります。
アジア人はもともと蒙古ひだの張りが強いことが多く、平行型を希望する場合には目頭切開(内眼角形成)の併用が必要になることが少なくありません²。一方で、埋没法や、切開法の中でも「外縫い法」で作った浅く取れやすい二重は平行型を作りやすいのですが、当院が「なるべく長持ちする術式を選択する」という観点で採用しているHotz変法(内縫い法)では、平行型にはなりづらい特性があります。そのため当院では、よほど強いご希望がなければ、基本的に末広型を作成しています。
そのうえで、「二重幅の狭い末広型」「二重幅の広い末広型」といった細かい調整を、切開の高さと皮膚の張り具合を踏まえて設計します。
二重の幅は広ければ広いほどいい?
幅は広ければ良いというものではありません。広すぎる二重は、まぶたの機能や見た目のバランスに影響することがあります。
アジア人の上まぶたの解剖を1,272名で計測した研究では、まぶたの土台となる瞼板の高さや、隔膜と挙筋腱膜が合流する位置が、従来考えられていたよりも高いことが示されています⁴。この研究では、瞼板の上縁より下の高さで、患者ごとの希望に合わせて二重を作ることで、動きのあるきれいな二重と良好なまぶたの動きが得られたと報告されています⁴。
つまり、解剖学的に無理のない高さで設計することが、目の開けやすさときれいな仕上がりの両立につながります。過度に広い二重は、まぶたが重く見えたり、目が開けにくく感じられたりする一因になることがあるため、当院ではブジーでのシュミレーションを用いて、実際の見え方をご本人と確認しながら幅を決めていきます。
幅や形はどうやって決める?カウンセリングの流れ

当院では、二重の幅・形を次のような流れで決めています。
まぶたの状態を診察する
皮膚の厚み・たるみ、眼窩脂肪の量、目の開き具合(眼瞼下垂の有無)を確認します。
ブジーでのシュミレーションを行う
細い棒(ブジー)で仮の二重を作り、複数の幅・形を実際に鏡で見比べていただきます。写真撮影も併用します。
希望の印象をすり合わせる
「くっきりさせたい」「まつげとの間をすっきり見せたい」など、言葉にしにくいイメージを一緒に具体化します。
解剖学的に可能な範囲を説明する
まぶたの厚みや蒙古ひだの状態から、無理なく再現できる幅・形の範囲をお伝えします。
ここで大切なのは、希望と解剖学的な条件を突き合わせることです。理想の写真があっても、まぶたの土台が違えば同じようには見えません。ブジーでのシュミレーションは、その差を手術前に確認するための重要な工程です。
幅・形を決めるときに気をつけたいこと

デザインを決める段階で、次の点を意識しておくと後悔が少なくなります。
- 今のまぶたを基準にしすぎない:
加齢とともに皮膚はたるみ、二重の見え方も変わっていきます。今この瞬間の印象だけで「幅の狭い二重」を選ぶと、数年後にたるんだ皮膚がかぶさって、二重の幅がさらに狭く見えてくることがあります。将来の変化も見越して設計することが大切です。 - 腫れている時期の見た目で判断しない:
術後しばらくは腫れによって幅が広く見えます。落ち着くまでには時間がかかるため、術直後の見た目で「広すぎる」と焦らないことが大切です。 - 左右のもとの差を理解しておく:
多くの方には、もともと目の開きやまぶたの厚みに左右差があります。手術で完全に左右対称にできるわけではなく、術後に左右差が目立つこともあると事前に理解しておくと安心です⁴。
なお、費用については二重全切開の治療・料金ページを、術後の経過については切開法二重手術のダウンタイム解説もあわせてご覧いただくと、全体像がつかみやすくなります。
なぜ当院は切開法だけ?埋没法を行わない理由

かつむらアイプラストクリニックは、二重手術を切開法(二重切開)のみで行い、埋没法は一切行っていません。埋没法についてよく言われる説明には、医学的に正確でないものが含まれるためです。詳しくは当院HPの埋没法を行わない理由を解説した記事で解説していますが、要点は次の4つです。
- 「腫れない」は誤りで、実際には腫れます。
埋没法は解剖を見ずに針をまぶたに通すため、太い血管を傷つけて内出血を起こすことがあります。血管を100%避けることは、どの術者にもできません。 - 「長持ちする」は誤りで、切開法より長持ちしません。
二重を持続させているのは糸の力ではなく、糸の周囲にできた瘢痕(はんこん)です。埋没法は瘢痕の範囲が狭いため、原則として切開法より長持ちしません。 - 「元に戻せる」は誤りです。
抜糸で元に戻せるのは術後2週間程度まで。それ以降は瘢痕が残り、糸を抜いても中途半端な二重ラインが残ることが多くなります。 - 眼球を傷つけることがあります。
埋没法の糸がまぶたの裏側に残り、眼球を傷つけるトラブルが実際に起こります。当院では、他院での埋没法後に眼球を傷つけられて来院された方の診察や、糸の摘出も行っています。
切開法は、まぶたの皮膚と挙筋腱膜のつながりを直接作るため、埋没法に比べて設計した幅・形を再現しやすく、持続性にも優れます⁵。
二重切開における当院ならではの強み

二重切開は「どこで受けても同じ」ではありません。当院ならではの強みをご紹介します。
- 当院ではまぶたの手術を年間1,800件前後行っています。二重切開に限らず、まぶたの手術に集中して取り組んでいるクリニックです。
- 院長は眼科専門医として、眼球そのものの構造や働きを熟知しています。二重ラインをデザインする際も、まぶたの形だけでなく眼球への影響まで考慮して設計します。
- また、まぶたや目もとの治療に関わる様々な学会に所属し、機能面だけでなく審美的な面についても経験と知識の研鑽を重ねています。
- 万が一、術後に眼球に何らかのトラブルが起きた場合も、当院で診察・診断のうえ、治療まで対応できます。術後の眼球の診察から治療まで一つのクリニックの中で一貫して対応できることは、当院ならではの安心材料です。
また、当院ではすべての手術を手術用顕微鏡下で行い、ミリ単位で緻密に組織を扱います。デザインだけでなく、実際の縫合の精度も仕上がりを左右する要素です。
なお、二重のラインを変えたくない方や、まぶたの外側(目尻側)のたるみ(lateral hooding)が強い方には、二重切開ではなく眉下切開が向いている場合があります。まぶたが厚く眉毛の位置が低い方には前額リフト(おでこリフト)をおすすめすることもあります。どの術式が合うかは、診察のうえでご提案します。
術後の過ごし方とダウンタイムは?

二重切開は、埋没法より腫れや内出血が出やすい術式です。おおよその目安は次のとおりです(腫れの程度には個人差が大きいことをご了承ください)。
- 抜糸:術後6〜12日目に行います。
- 強い腫れ:術後3〜7日ごろがピークです。
- 腫れ・内出血が落ち着くまで:術後2〜3週間が目安です。
- 傷跡の赤み(瘢痕の炎症期):術後の赤みは、およそ6カ月で落ち着くことが多いです(1年ほど続く場合もあります)。最終的な仕上がりの安定も術後3〜6か月を目安に考えます。
日常生活の再開の目安は次のとおりです。
- 術翌日〜:洗顔・洗髪・シャワーが可能です。
- 術後3日〜:入浴(湯船)・飲酒・ウォーキング程度の軽い運動が可能です。デスクワークへの復帰もこのころから可能ですが、まだ腫れが目立つ時期です。
- 術後1週間〜:ランニング程度の運動やベースメイクが可能になります。
- 術後3週間〜:激しい運動、アイメイク、コンタクトレンズが可能になります。
修正が必要になったらどうする?

二重切開では、左右差や幅・形の微妙な違いが気になることがあります。切開法の二次修正でも、術前の皮膚の張り・瘢痕の位置・希望する形をもとに、個別の設計が可能と報告されています³。
ただし、術直後は腫れが残っており、時間とともに幅は落ち着いていきます。当院では、修正を検討する場合も最低6か月以上経過してから判断します。修正の計画には、写真撮影とブジーでのシュミレーションを活用し、変化を客観的に確認したうえで方針を決めます。
よくある質問(FAQ)

- 二重の幅は後から広げたり狭めたりできますか?
- 切開法の場合、狭める修正より広げる修正のほうが対応しやすい傾向があります。ただし、いずれも瘢痕の状態に左右されるため、まずは腫れが落ち着くまで待ち、6か月以降に検討します。
- 平行型にしたいのですが、できますか?
- アジア人はもともと蒙古ひだの張りが強いことが多く、平行型を希望する場合は目頭切開の併用が必要になることが少なくありません²。また、当院が採用しているHotz変法(内縫い法)は、なるべく長持ちすることを重視した術式のため、平行型にはなりづらい特性があります。当院では基本的に末広型をおすすめしていますが、ご希望が強い場合は診察のうえでご相談ください。
- まぶたが厚いのですが、くっきりした二重にできますか?
- まぶたが厚い方は、皮膚や眼窩脂肪・眼輪筋の処理を丁寧に行うことで対応します¹。厚みの程度によっては、眉下切開など別の術式のほうが合う場合もあります。
- 幅を決めるのに、写真を持って行ってもいいですか?
- はい、希望のイメージを共有していただけるのは有用です。そのうえで、ご自身のまぶたの解剖で再現できる範囲を、ブジーでのシュミレーションで確認しながら決めていきます。
- まぶたの開き具合(眼瞼下垂)が気になる場合、二重切開と同時に調整できますか?
- 当院では、二重切開のみを行うとまぶたが下がることがあること、くい込みが強すぎる二重になることがあることから、ほぼすべての二重切開の症例で、まぶたを上げる筋肉につながる挙筋腱膜の調整も行っています。これにより、まぶたの高さを調整しながら二重のくい込みを抑えることが可能になります(患者さんのお顔立ちにより、できることは変わります)。なお、まぶたの開き具合に左右差が出ることがあるため、術後2週間のチェックで必ずご来院いただいています。
- 二重切開は保険が使えますか?
- 二重切開(重瞼術)は整容目的のため、原則として自費診療です。目の開きの問題(眼瞼下垂)や視野障害を伴う場合は、保険適用となる手術が別途検討できることがあります。
二重の幅と形は、一度決めると簡単にはやり直せません。だからこそ、数字だけで決めるのではなく、ご自身のまぶたで何が再現できるかを、診察とブジーでのシュミレーションで確認することをおすすめしています。気になる点は、かつむらアイプラストクリニックまでご相談ください。
参考文献
- 1. Guo L, Liu J, Li C, et al. Influential Factors on Crease Width Post Cosmetic Blepharoplasty Among Young Asian Women. *Aesthetic Plast Surg.* 2025;49(12):3386-3392. DOI
- 2. Wang C, Mei X, Pu LLQ. Asian Upper Blepharoplasty in Women: A Comprehensive Approach for a Natural and Aesthetically Pleasing Outcome. *Aesthet Surg J.* 2021;41(12):1346-1355. DOI
- 3. Huang J, Li Z, Chi Y, et al. Individualized High Double Eyelid Fold Correction in Secondary Blepharoplasty: A Free-Style Design. *Aesthetic Plast Surg.* 2023;47(5):1843-1850. DOI
- 4. Yu AY, Yu AA, Boonipat T, Pu LLQ. A Conservative Crease-Height-Adjustable Asian Double-Eyelid Surgery Technique Based on Live Anatomical Studies. *Plast Reconstr Surg.* 2025;156(1):29-40. DOI
- 5. Wong CH, Hsieh MKH, Wei FC. Asian Upper Blepharoplasty with the Hinge Technique. *Aesthetic Plast Surg.* 2022;46(3):1423-1431. DOI




