
「クマ取りの手術を受けても、数年でまた戻ってしまうのでは」「せっかく受けるなら、何年くらい持つのか知っておきたい」——目の下のたるみ取り(クマ取り)を検討している方から、とても多くいただく質問です。自費の手術だからこそ、効果がどのくらい続くのかは、費用と同じくらい大切な判断材料ではないでしょうか。
この記事では、JR浦和駅西口の眼形成専門クリニック「かつむらアイプラストクリニック」院長で眼科専門医の勝村宇博が、クマ取り手術の効果がどのくらい持続するのか、「戻った」と感じるのはなぜなのか、そして長く持たせるためにどう術式を選べばよいのかを、医学的なエビデンスに基づいて解説します。
クマ取りの効果は何年持つ?

結論から言うと、手術で改善した「脂肪のふくらみ」は基本的に長期にわたって持続します。ただし、皮膚のたるみや骨の萎縮といった加齢による変化は手術後も進むため、「一生そのまま」ではありません。
目の下のふくらみの正体は、眼窩脂肪(がんかしぼう)という眼球のまわりの脂肪が前に押し出されたものです。手術でこの脂肪を取り除いたり、くぼみの部分へ移動させたりすると、脂肪が元の状態に戻ることは基本的にありません。海外の報告では、経結膜(まぶたの裏側)からのハムラ法を受けた200人を平均22ヶ月追跡したところ、ふくらみの残りで再手術が必要になったのは1.0%でした¹。また、移動した脂肪の容積が1年後も維持されていたことが、3次元計測で確認されています²。
一方で、まぶたの皮膚は年齢とともに薄く伸び、頬の骨はやせていきます。こうした変化は手術で止められるものではないため、10年、20年と経つうちに、手術前とは違う形の「目の下の変化」が現れることがあります。「何年持つか」を考えるときは、この2つを分けて考えることが大切です。
「持つ」とは何か?再発と加齢変化を分けて考える

「戻った」と感じる状態には、手術の効果そのものが戻る「再発」と、加齢で別の変化が出てくる「進行」の2種類があります。
- 再発:取り除いたはずのふくらみが再び出てくる、移動した脂肪が元の位置に戻る、といった状態。適切に行われた手術では多くありません¹
- 加齢による進行:皮膚のたるみやシワが増える、頬の骨がやせて段差やくぼみが目立つ、といった状態。手術の効果とは別に、年齢とともに誰にでも起こります
たとえば「脱脂で目の下がすっきりしたのに、5年後にくぼんで見えるようになった」という場合、これは脂肪が戻ったのではなく、骨の萎縮や皮膚のたるみが進んだことで、脂肪を取った部分のくぼみが目立ってきたものです。同じ「戻った」でも原因が違えば対処も違うため、術後に気になる変化が出たときは、どちらなのかを診察で見極める必要があります。
▶ 目の下のたるみが年齢とともにどう進むかは、目の下のたるみ・クマはなぜできる?原因と進行メカニズムで解説しています。
術式によって持続性は違う?

術式によって「何が持続し、何が加齢で変わりやすいか」が異なります。
当院で行っているクマ取りの術式と持続性の考え方を表にまとめました。
※横スクロールできます。
| 術式 | 手術で改善するもの | 長期に持続するもの | 加齢で変わりやすいもの |
|---|---|---|---|
| 脱脂 | 脂肪のふくらみ | ふくらみの減少 | 骨の萎縮や皮膚のたるみが進むと、脂肪を取った部分のくぼみ・段差が目立ちやすい |
| 裏ハムラ (経結膜的下眼瞼形成術) |
脂肪のふくらみ+くぼみ(脂肪の移動) | ふくらみの減少・移動した脂肪² | 皮膚のたるみ・シワ(皮膚は切除しないため) |
| 表ハムラ (経皮的下眼瞼形成術) |
脂肪のふくらみ+くぼみ+皮膚のたるみ | ふくらみの減少・移動した脂肪・切除した皮膚の分 | 新たに生じる皮膚のたるみ・骨の萎縮 |
| 脂肪注入 (併用施術) |
骨の萎縮によるくぼみ | 生着した脂肪(生着率30〜80%³) | 生着しなかった分は数ヶ月で吸収される |
脱脂:ふくらみは戻りにくいが、くぼみが出てくることがある
脱脂は眼窩脂肪を取り除く手術です。取った脂肪は戻らないため、ふくらみそのものの再発は多くありません。ただし、20〜30代前半の皮膚のたるみが少ない方向けの術式であり、骨の萎縮が進む年代になると、脂肪を取った部分がくぼんで見えやすくなります。脂肪を取り除く従来法と脂肪を温存する方法を比べた研究では、脂肪を温存した方が仕上がりと合併症の面で良好だったと報告されています⁴。過去に脱脂を受けてくぼみが気になるようになった方には、脂肪の移動(ハムラ法)で対応できることも報告されています⁵。ただし、脱脂で脂肪を取りすぎている場合は、移動できる脂肪そのものが足りず、修正しきれないこともあります。脱脂を受けるときは、将来を見据えて脂肪を取りすぎない術者を選ぶことが大切です。
裏ハムラ・表ハムラ:移動した脂肪は長期に維持される
ハムラ法は、眼窩脂肪を取り除くのではなく、くぼみの部分へ移動・再配置する手術です。移動した脂肪は組織に固定されるため、元の位置に戻ってふくらみが再発することは少なく、1年後も容積が維持されていたことが確認されています²。皮膚を切らない裏ハムラは、皮膚のたるみそのものは改善できないため、加齢とともに皮膚のシワが目立ってくることがあります。表ハムラは皮膚も切除するため、皮膚のたるみに対しても効果が長く続きます。
脂肪注入:生着した分は定着する
骨の萎縮によるくぼみは、裏ハムラ・表ハムラでも一部は改善するものの、脂肪注入が必要になることが少なくありません。注入した脂肪のうち生着した分は自分の組織として定着しますが、生着率は30〜80%と幅があり³、生着しなかった分は数ヶ月のうちに吸収されます。このため、術後3〜6ヶ月で落ち着いた状態が、その後の持続する状態と考えてください。
▶ 3つの術式の違いと選び方は、切る?切らない?おすすめのクマ取り手術法とは?で詳しく解説しています。
なぜ「戻った」と感じるのか?4つの原因

術後数年で「戻った」と感じる場合、その多くは手術の効果が消えたのではなく、次の4つのいずれかが起きています。
①脱脂後のくぼみの進行
脂肪を取り除いた部分は、若いうちは平らに見えていても、骨の萎縮や皮膚の薄さが進むにつれてくぼみとして目立ってきます。「クマが戻った」というより「影の出方が変わった」状態です。
②皮膚のたるみの進行
まぶたの皮膚は体の中でもっとも薄く、年齢とともに伸びていきます。脂肪のふくらみが解消されていても、皮膚がたるむと目の下に影やシワが出て、ふくらみがあるように見えることがあります。皮膚を切らない術式を選んだ方に起こりやすい変化です。
③骨の萎縮(頬骨のくぼみ)
年齢とともに頬の骨がやせると、目の下と頬の境目に段差ができます。手術で脂肪を移動していても、その土台となる骨がやせれば段差が再び目立つことがあります。
④体重の変化・生活習慣
体重が大きく増えると眼窩脂肪も増え、ふくらみが再び目立つことがあります。反対に急激に体重が減ると、くぼみが強調されます。目をこする習慣も、皮膚のたるみを進める要因になります。まぶたの皮膚は体の中でもっとも薄く、こするたびに引っ張られて伸び、皮膚の弾力を保つ組織が傷んでいくためです。
長く持たせるための術式選択

持続性を左右するのは、術式の優劣ではなく「その方のたるみの原因と術式が合っているか」です。
目の下のたるみの原因は、①皮膚や眼窩隔膜・靱帯のゆるみ、②眼窩脂肪の前方への突出、③骨の萎縮(頬骨のくぼみ)の3つです。年齢とともに①と③の要素が加わっていくため、同じ「クマ取り」でも、20代と50代では選ぶべき術式が変わります。
- ②のみ(20〜30代前半、皮膚のたるみが少ない):
脱脂で対応できることが多い。ただし将来の骨の萎縮を考え、脂肪を取りすぎないことが大切 - ②+③(30〜40代):
脂肪を取るのではなく移動する裏ハムラ・表ハムラで、ふくらみとくぼみを同時に整える。骨の萎縮が強ければ脂肪注入を併用 - ①+②+③(40代以降):
皮膚のたるみも切除できる表ハムラが、長期的な仕上がりの面で有利。必要に応じて脂肪注入を併用
「今のふくらみを取るだけ」の手術は、その時点ではすっきりしても、数年後の加齢変化に対応できないことがあります。5年後、10年後の変化まで見据えて、脂肪を「取る」のか「移動する」のか、皮膚を「残す」のか「切除する」のかを選ぶことが、結果的に長く持つ手術につながります。
▶ 年代によって手術の考え方がどう変わるかは、40代以降のクマ取り — 20代の手術とは「手術の考え方」が違いますで解説しています。
10年後・20年後に再手術は必要?

ふくらみの再発による再手術が必要になることは多くありません。ただし、加齢による皮膚のたるみや骨の萎縮が進んだ場合、「別の変化に対する追加の手術」を検討することはあります。
先ほどの200人の追跡調査では、ふくらみの残りによる再手術率は1.0%でした¹。一方で、脂肪の移動を行った142人の報告では、皮膚のシワの残りなどを含めた再手術率が5.8〜12.3%とされており⁶、「ふくらみ以外の要素」が再手術の主な理由になっていることが分かります。
再手術を検討する場合、前回の手術から十分に時間が経っていれば、瘢痕(はんこん)が軟らかくなっており、手術を計画することはできます。ただし、時間が経っても瘢痕そのものは残っているため、初回に比べて手術の難易度は上がります。当院では、術後の調整は最低6ヶ月以上経過してから検討し、修正手術の計画にはデジタル一眼レフカメラでの写真撮影を活用しています。なお、当院で受けた自費の手術については、術後1年以内で切開部位が同じ場合、再手術に追加料金はかかりません(追加手術時の術後のお薬代は別途かかります)。ただし、脂肪注入を行った後に追加で脂肪注入を行う場合は、1年以内でも追加料金をいただきます。
当院のクマ取りに対する考え方

かつむらアイプラストクリニックでは、まぶたの手術を年間2000件前後行っています。クマ取りについては、次のような方針で手術を行っています。
原因で使い分ける
眼球の状態も診る
当院の料金は料金表をご確認ください。麻酔代と術後の診察代は手術代金に含まれています(点滴による静脈麻酔をご希望の場合は別途5,500円(税込))。
▶ 目の下のたるみ取りの治療については、下まぶたのたるみ取りの治療・費用をご覧ください。
術後の過ごし方と、持続性に関わる生活習慣

手術の効果を長く保つために、術後の過ごし方と日常の習慣で気をつけたいことをまとめます。
術後の過ごし方
腫れのピークは術後3日目ごろで、ピークを過ぎると徐々にひいていき、細かな腫れは数ヶ月かけてゆっくり落ち着いていきます(非常に個人差が大きい部分です)。傷跡の赤みはおよそ6ヶ月で落ち着くことが多いです(1年ほど続く場合もあります)。
持続性に関わる日常の習慣
- 目をこすらない:花粉症やアイメイクのオフで目をこする習慣は、薄いまぶたの皮膚を引っ張って伸ばし、たるみを進めます
- 紫外線対策:紫外線は皮膚の弾力を保つコラーゲンを減らします。目元まで日焼け止めやサングラスで守りましょう
- 急激な体重変動を避ける:大きな体重の増減は、眼窩脂肪の量やくぼみの見え方に影響します
よくある質問(FAQ)

- クマ取りの効果は一生続きますか?
- 手術で改善した脂肪のふくらみは基本的に長期に持続しますが、皮膚のたるみや骨の萎縮といった加齢変化は手術後も進みます。「一生そのまま」ではなく、「脂肪のふくらみが再び出てくることは少ないが、年齢に応じた別の変化は現れる」とお考えください。
- 脱脂とハムラ法では、どちらが長持ちしますか?
- どちらもふくらみの再発は多くありません。ただし脱脂は脂肪を取り除くため、年齢とともに骨の萎縮が進むとくぼみが目立ちやすくなります。ハムラ法は脂肪をくぼみへ移動するため、加齢変化に対してより長期的な仕上がりが期待できます²⁴。
- 脂肪注入は何年持ちますか?
- 生着した脂肪は自分の組織として定着し、長期に維持されます。生着率は30〜80%と幅があり³、生着しなかった分は数ヶ月で吸収されるため、術後3〜6ヶ月で落ち着いた状態がその後も続くと考えてください。
- 20代で脱脂を受けました。将来くぼんできたらどうすればよいですか?
- 脂肪を移動する手術(ハムラ法)や脂肪注入で対応できることが多いです。脱脂後のくぼみに対して脂肪の移動を行い、初回手術と同等の結果が得られたという報告もあります⁵。ただし、脱脂で脂肪を取りすぎている場合は、移動できる脂肪が足りず修正しきれないこともあります。診察でくぼみの程度・残っている脂肪の量・骨の状態を確認したうえで、術式をご提案します。
- 若いうちに受けた方が長持ちしますか?
- 年齢そのものより、「その時点のたるみの原因に合った術式を選ぶこと」が持続性を左右します。若い方でも将来の骨の萎縮を見据えて脂肪を取りすぎないこと、40代以降の方は皮膚のたるみにも対応することが、長く持たせるポイントです。
- 再手術が必要になった場合、初回より難しくなりますか?
- 前回の手術から十分に時間が経ち、瘢痕が軟らかくなっていれば、手術を計画することはできます。ただし、時間が経っても瘢痕は残っているため、初回に比べて手術の難易度は上がります。また、前回の手術で脂肪を取りすぎている場合は、脂肪注入などを組み合わせる必要があり、手術の内容も初回と異なることがあります。
- 効果を長持ちさせるために、術後にできることはありますか?
- 目をこすらない、紫外線対策をする、急激な体重変動を避ける、の3点が基本です。いずれも皮膚のたるみや脂肪の量の変化を抑えることにつながります。
まとめ:「何年持つか」は、原因に合った術式を選べるかで決まる

クマ取り手術で改善した脂肪のふくらみは、基本的に長期にわたって持続します¹²。一方で、皮膚のたるみや骨の萎縮といった加齢変化は手術後も進むため、その時点のふくらみを取るだけの手術では、数年後の変化に対応できないことがあります。
大切なのは、皮膚・脂肪・骨という3つの原因のどれが主体なのかを見極め、5年後・10年後の変化まで見据えて術式を選ぶことです。かつむらアイプラストクリニックでは、眼科専門医である院長が、加齢変化まで含めて診察し、その方に合った術式をご提案しています。クマ取りの持続性に不安のある方は、お気軽にご相談ください。
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本記事の医学的情報は、PubMedに収載された学術論文に基づいて作成しています。引用文献の詳細は上記DOIリンクよりご確認いただけます。




