
「クマ取りの手術を受けたのに、目の下がくぼんで老けた気がする」「白目が見えるようになった」「左右で仕上がりが違う」——目の下のたるみ取り(クマ取り)手術のあとに、こうした不安を抱えて「クマ取り 失敗」と検索している方も多いのではないでしょうか。あるいは、これから手術を考えていて「失敗したらどうなるのか」「修正はできるのか」を知っておきたい、という方もいらっしゃると思います。
この記事では、JR浦和駅西口の眼形成専門クリニック「かつむらアイプラストクリニック」院長で眼科専門医の勝村宇博が、クマ取り手術で「失敗」と感じられやすい状態にはどのようなものがあるのか、なぜ起こるのか、そして修正手術でどこまで改善できるのかを、医学的なエビデンスに基づいて解説します。
クマ取り手術の「失敗」とはどんな状態?

クマ取り手術の「失敗」に、医学的な明確な定義はありません。実際には「見た目が思っていた仕上がりと違う」という審美的な不満と、下まぶたの外反や結膜のむくみといった医学的な合併症が、まとめて「失敗」と呼ばれています。
この2つは分けて考える必要があります。海外の系統的レビュー(36報の論文を統合した研究)では、下まぶたの手術で視力に影響するような重大な合併症の報告はなく、機能面・見た目の合併症の大多数は保存的な治療か再手術で解決できたとされています¹。つまり、多くの「失敗」は取り返しのつかないものではなく、原因を正しく見極めれば対処の道筋があるということです。
一方で、結膜浮腫・涙小管損傷・眼窩内の炎症性のしこりなどの医学的合併症については、原因と予防策を別の記事で詳しく解説しています。この記事では主に、患者さんが「失敗した」と感じやすい仕上がりの不満と、その修正の考え方に焦点を当てます。
▶ 合併症の種類と予防策については、クマ取り・目の下のたるみ取りの後遺症・リスクと失敗を防ぐ予防策で詳しく解説しています。
術後に「失敗した」と感じやすい7つの状態は?

当院に修正のご相談で来院される方のお悩みは、おおむね次の7つに分けられます。
①脂肪を取りすぎたことによる「くぼみ」
脂肪を取り除く手術(脱脂)で眼窩脂肪を必要以上に除去すると、目の下が落ちくぼみ、影ができて、かえってクマが強調されたように見えることがあります。もともと頬の骨がやせている(骨の萎縮がある)方に脱脂だけを行った場合に起こりやすい状態です。近年の下まぶたの手術は「脂肪を取る」より「脂肪を残す・移動する」方向へ進んでおり、その理由のひとつがこの術後のくぼみです⁶。
②脂肪の取り残し・ふくらみの残存
反対に、脂肪の除去や移動が不十分で、術後もふくらみが残る状態です。特に目の外側(目尻側)の脂肪は視野に入りにくく、取り残しが起こりやすい部位として知られています。
③左右差
左右のふくらみやくぼみの程度、皮膚の切除量に差が出る状態です。もともと顔には左右差があるため、術前からある差が術後に目立って感じられることもあります。
④皮膚のたるみ・シワの残存
皮膚を切らない術式(脱脂・裏ハムラ)を選んだ場合、脂肪のふくらみが解消された分だけ、余った皮膚の「ちりめんジワ」やたるみが目立って感じられることがあります。これは術式の限界によるもので、皮膚のたるみそのものを改善するには皮膚を切除する術式が必要です。
⑤下まぶたの後退・外反(白目が見える・あっかんべえ)
皮膚側から切開する術式(表ハムラ・経皮的下眼瞼形成術)で皮膚を切りすぎたり、術後の瘢痕(はんこん)が下まぶたを引き下げたりすると、下まぶたが下がって白目の部分が見える状態(scleral show)や、まぶたが外側にめくれる「外反」が起こることがあります²³。目の乾きや涙が出るといった機能面の症状を伴うため、見た目の問題にとどまらず、早めの対応が必要な状態です。
⑥脂肪注入後のしこり・凸凹
くぼみを補う目的で行う脂肪注入では、注入した脂肪の一部が生着せずに硬くなり、しこりや凸凹として触れる・見えることがあります。顔面に移植した脂肪の生着率はおよそ30〜80%と幅があり⁵、注入量や注入層、脂肪の処理方法によって結果が左右されます。
⑦クマの「色」が残る
目の下のクマには、たるみや脂肪のふくらみによる影(黒クマ)のほかに、血流の滞りによる青クマ、色素沈着による茶クマがあります。手術の対象となるのは黒クマです。青クマは、黒クマの治療である手術により改善することが少なくありませんが、色素沈着による茶クマは手術では改善しません。術前にどのタイプのクマが主体なのかを見極めていないと、「手術をしたのにクマが残った」と感じる原因になります。
▶ クマのタイプの見分け方は、【セルフチェック付】目の下のクマ3種類の原因・見分け方で解説しています。
なぜ起こる?「術式選択のミスマッチ」と3つの原因

上記の不満の多くは、手術の手技そのものよりも、目の下のたるみの原因と術式が合っていないことから生まれます。
目の下のたるみ(クマ)の原因は、大きく3つあります。
- ①皮膚や眼窩隔膜・靱帯のゆるみ:
加齢により、眼窩脂肪を支えている膜や靱帯がゆるむ - ②眼窩脂肪の前方への突出:
支えがゆるんだ結果、脂肪が前に押し出されてふくらむ - ③骨の萎縮(頬骨のくぼみ):
頬の骨がやせて、ふくらみの下に段差・くぼみができる。裏ハムラ・表ハムラでも一部は改善するものの、脂肪注入が必要になることが少なくありません
これに対して手術は、大きく3種類に分かれます。
※横スクロールできます。
| 術式 | 皮膚の切開 | ①皮膚のたるみ | ②脂肪のふくらみ | ③骨の萎縮による段差 |
|---|---|---|---|---|
| 脱脂 | なし(まぶたの裏側) | 改善しない | 改善する | 改善しない(悪化することも) |
| 裏ハムラ (経結膜的下眼瞼形成術) |
なし(まぶたの裏側) | 改善しない | 改善する | 脂肪の移動で一部改善(脂肪注入が必要になることが少なくない) |
| 表ハムラ (経皮的下眼瞼形成術) |
あり(下まつ毛のすぐ下) | 皮膚を切除して改善する | 改善する | 脂肪の移動で一部改善(脂肪注入が必要になることが少なくない) |
たとえば、③骨の萎縮が強い方に脱脂だけを行えば「①取りすぎのくぼみ」に、①皮膚のたるみが強い方に皮膚を切らない術式を選べば「④シワの残存」につながります。3つの術式に優劣はなく、皮膚のたるみの程度や骨のくぼみの有無で使い分けるものです⁶。骨の萎縮が強い場合には、脂肪の移動だけではくぼみが残ることがあるため、表ハムラなどと同時に脂肪注入を追加することが少なくありません。
▶ 術式ごとの違いと選び方は、クマ取り手術のおすすめは?脱脂・裏ハムラ・表ハムラの違いを徹底解説で詳しく解説しています。
「失敗かも」と思ったら、いつ判断する?

結論から言うと、仕上がりの評価は術後3〜6ヶ月、修正手術の検討は術後6ヶ月以降が目安です。 ただし、下まぶたの後退・外反のサインがある場合は、時期を待たずに早めに受診してください。
腫れが引くまでは判断できない
下まぶたの手術では、腫れのピークは術後3日目ごろです。ピークを過ぎると徐々にひいていき、腫れやむくみは2〜3週間で落ち着きますが、細かな腫れは数ヶ月かけてゆっくり落ち着いていきます(非常に個人差が大きい部分です)。腫れている時期には、左右差やふくらみの残り、皮膚のシワが実際より強く見えるものです。
表ハムラで皮膚を切開した場合、傷跡の赤みはおよそ6ヶ月で落ち着くことが多いです(1年ほど続く場合もあります)。最終的な仕上がりは術後3〜6ヶ月を目安に評価します。
なぜ修正は6ヶ月以降なのか
術後の瘢痕は、時間とともに柔らかくなり、下まぶたの位置も落ち着いてきます。軟らかくなる前の瘢痕に手を加えると、組織の状態が読めず、かえって結果が不安定になります。下まぶたの後退の治療に関する研究でも、軽度のものは時間の経過やマッサージなどの保存的な対応で改善することがあり、手術による修正はそのあとで検討することが基本とされています²。このため当院では、修正手術は原則として術後6ヶ月以上経過してから検討しています。
早めに受診したほうがよいサイン
次のような症状がある場合は、6ヶ月を待たず、手術を受けたクリニックまたは眼科に早めにご相談ください。
- 下まぶたが下がって白目が見える、まぶたが外側にめくれている
- 目が乾く、ゴロゴロする、涙がこぼれるなどの症状が続く
- 目の痛みや視力の低下、ものが二重に見える
- 急に強く腫れてきた、赤みや熱感が強くなってきた
これらは見た目の問題ではなく、角膜(黒目の表面)に影響が出る可能性があるサインです。当院は眼科専門医が在籍していますので、角膜の状態やドライアイの有無まで含めて診察し、必要な治療を行うことができます。
修正手術で改善できること・難しいこと

修正手術は「なんでも元に戻せる」ものではありません。改善しやすいもの、難しいものを正直にお伝えすることが、修正のご相談ではもっとも大切だと考えています。
※横スクロールできます。
| 状態 | 主な修正の方法 | 改善の見込み |
|---|---|---|
| ①取りすぎのくぼみ | 脂肪注入で容積を補う | 比較的改善しやすい。ただし生着率に個人差⁵ |
| ②脂肪の取り残し | 追加の脱脂・脂肪の移動 | 改善しやすい |
| ③左右差 | 多い側の調整・少ない側への注入など | 差を小さくできるが、完全な左右対称は難しい |
| ④皮膚のたるみ・シワの残存 | 皮膚切除を伴う術式(表ハムラ)への変更 | 改善しやすい。ただし切除量は慎重に |
| ⑤下まぶたの後退・外反 | 外側靱帯の固定(canthopexy 等)、頬の組織を引き上げる中顔面リフト、重症例では皮膚移植や裏打ちの移植²³⁴ | 改善は可能だが手術は複雑になり、複数回になることもある |
| ⑥脂肪注入後のしこり | 経過観察、しこりの摘出 | 小さなものは時間で軟らかくなることも。大きなものは摘出 |
| ⑦色グマの残存 | 青クマは手術で改善することが少なくない/茶クマは手術では改善しない | 茶クマはレーザー・外用薬など別の治療の対象 |
特に⑤の下まぶたの後退・外反は、皮膚(前葉)・眼窩隔膜(中葉)・結膜側(後葉)のどこが足りなくなっているかを見極めて術式を選ぶ必要があり²、修正手術の中でもっとも難易度が高いものです。頬の組織を垂直に引き上げて下まぶたを支える中顔面リフトは、10年間の長期成績でも有効性が報告されていますが⁴、それでも1回の手術で完全に整うとは限りません。
だからこそ、初回の手術の時点で、皮膚の切除量を控えめにする、下まぶたの外側を支える処置(tarsal sling や canthopexy)を必要に応じて併用するといった予防が重要になります³。
当院の修正手術に対する考え方

かつむらアイプラストクリニックでは、まぶたの手術を年間2000件前後行っており、他院で受けたクマ取り・目の下のたるみ取りの修正のご相談も日常的にお受けしています。修正のご相談では、次のような方針で診察を行っています。
修正手術は自費診療となります。当院の料金は料金表をご確認ください。麻酔代と術後の診察代は手術代金に含まれています(点滴による静脈麻酔をご希望の場合は別途5,500円(税込))。また、当院で受けた自費の手術については、術後1年以内で切開部位が同じ場合、再手術に追加料金はかかりません(追加手術時の術後のお薬代は別途かかります)。
▶ 他院修正の流れや症例については、他院修正・修正手術の治療の流れ・費用・症例をご覧ください。
失敗を避けるために、カウンセリングで確認したいこと

これから手術を受ける方にとって、いちばんの「修正対策」は、初回の手術で術式のミスマッチを避けることです。カウンセリングでは、次の点を確認しておくことをおすすめします。
- 自分のクマの原因はどれか:
皮膚のたるみ・脂肪のふくらみ・骨のくぼみのうち、何が主体で、色グマの要素はどのくらいあるか - なぜその術式を勧めるのか:
脱脂・裏ハムラ・表ハムラのうち、その術式を選ぶ理由と、選ばなかった術式のデメリット - 皮膚のたるみは残るか:
皮膚を切らない術式の場合、術後にシワが目立つ可能性があるか - 下まぶたの位置を守る処置をするか:
表ハムラの場合、外反・後退の予防としてどのような工夫をしているか³ - 万一のときに誰が診るのか:
術後に目の乾きや下まぶたの位置の問題が起きた場合、そのクリニックで眼球の診察まで対応できるか - 修正の条件:
仕上がりに納得できなかった場合、いつ・どのような条件で再手術を検討するのか
これらに明確な答えが返ってくるかどうかは、クリニック選びの大切な判断材料になります。
修正手術後の過ごし方

修正手術のあとの過ごし方は、初回の手術と基本的に同じです。ただし、瘢痕のある組織を扱うため、腫れや内出血が初回よりやや長引くことがあります。
▶ 表ハムラの術後経過は、【症例】クマ取り手術のダウンタイムは?表ハムラ+脂肪注入の経過を解説で写真つきで解説しています。
よくある質問(FAQ)

- 他院で受けたクマ取りの修正もお願いできますか?
- はい、ご相談いただけます。まず診察で原因を見極め、修正で改善できる見込み、まず経過を見るべきかどうかをお伝えします。前のクリニックでの手術内容(術式・脂肪注入の有無)や術前の写真があれば、ぜひお持ちください。
- 脱脂で取りすぎてくぼんでしまいました。元に戻せますか?
- 取り除いた脂肪そのものは戻せませんが、脂肪注入で容積を補うことで、くぼみを目立ちにくくすることができます。移植した脂肪の生着率は30〜80%と幅があるため⁵、1回で足りない場合は追加注入を検討することがあります。
- 白目が見えるようになりました。時間がたてば治りますか?
- 軽度のものは、腫れや瘢痕が落ち着くにつれて改善することがあります²。ただし、目の乾きや痛みを伴う場合は角膜への影響が心配ですので、時期を待たずに受診してください。
- 修正手術はいつからできますか?
- 原則として、前回の手術から6ヶ月以上経過し、瘢痕が軟らかくなってから検討します。ただし、外反や角膜の症状など機能面の問題がある場合は、より早い段階で治療を行うことがあります。
- 修正手術は保険が使えますか?
- 目の下のたるみ取り・クマ取りの修正は、自費診療となります。料金は料金表をご確認ください。
- 修正手術のダウンタイムは初回より長いですか?
- 瘢痕のある組織を扱うため、腫れや内出血がやや長引くことがあります。腫れのピークは術後3日目ごろで、その後数ヶ月かけて落ち着いていきます(非常に個人差が大きい部分です)。
- 修正手術をしても左右差は完全になくなりますか?
- 左右差を小さくすることはできますが、もともとの骨格や皮膚の状態に左右差があるため、完全な左右対称を約束することはできません。術前に写真で現状の左右差を確認し、どこまで近づけられるかを具体的にお伝えします。
まとめ:「失敗」の多くは、原因を見極めれば道筋がある

クマ取り・目の下のたるみ取りの「失敗」の多くは、たるみの原因と術式のミスマッチから生まれます。取りすぎのくぼみや取り残し、皮膚のシワの残存は修正で改善が見込めるものが多く、下まぶたの後退・外反は難易度が高いものの治療法があります¹²⁴。
大切なのは、腫れの時期に焦って判断しないこと、そして早めの対応が必要なサインを見逃さないことです。かつむらアイプラストクリニックでは、眼科専門医である院長が、目の機能まで含めて診察し、できること・できないことを正直にお伝えしたうえで修正手術をご提案しています。仕上がりにお悩みの方、これから手術を受けるにあたって不安のある方は、お気軽にご相談ください。
▶ 目の下のたるみ取りの治療・費用については、下まぶたのたるみ取りの治療・費用をご覧ください。
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本記事の医学的情報は、PubMedに収載された学術論文に基づいて作成しています。引用文献の詳細は上記DOIリンクよりご確認いただけます。




