
「眉下切開を受けたら、その効果は何年くらい持つのだろう」「せっかく手術をしても、数年でまた元に戻ってしまうのでは」。まぶたの厚みやかぶさりに悩み、眉下切開を検討している方から、こうしたご質問をよくいただきます。
眉下切開は、眉毛のすぐ下で余分な皮膚を切り取る手術です。切り取った皮膚が生えてくることはありませんから、「効果が消えてなくなる」ことは基本的にありません。けれども、まぶたの加齢は手術のあとも続きますし、眉毛の位置が変わることで「戻ったように感じる」ことはあります。
この記事では、JR浦和駅西口のかつむらアイプラストクリニック院長・勝村宇博(眼科専門医)が、眉下切開の効果は何年持つのか、何が持続して何が加齢で変わるのか、そして長く持たせるために術前に確認しておきたいことを、研究データを交えて解説します。
眉下切開の効果は何年持つ?

眉下切開で切り取った皮膚は元に戻らないため、手術の効果そのものは長期にわたって維持されます。一方で、残ったまぶたの皮膚は加齢とともにゆるんでいくため、「何年で効果がゼロになる」という性質のものではなく、「手術をしなかった場合と比べて、その分だけたるみの少ない状態が続く」と考えるのが正確です。
研究データを見ると、中国で眉下切開を受けた72名の女性を追跡した前向き研究では、眉毛の位置も患者さんの満足度も、術後6ヶ月と12ヶ月で有意な差がなく、仕上がりが安定していたことが報告されています¹。また、術後6ヶ月から2年まで経過を追った別の報告では、97.4%の方が結果に満足していました²。手術で得られた変化は、少なくとも1〜2年の範囲では安定しているといえます。
それ以上の長期については、明確な統計データがまだ少ないのが実情です。当院の経験上、眉下切開のあとに「またかぶさってきた」と感じるのは、多くの場合、手術の効果が消えたからではなく、残った皮膚の加齢や眉毛の位置の変化が新たに加わったためです。この記事では、その仕組みを順番に見ていきます。
「持つ」とは何か?切った皮膚は戻らない

眉下切開の「持続性」を考えるうえで、まず押さえておきたいのは、手術で切り取った皮膚は再生しないという事実です。まぶたのかぶさりの原因である余分な皮膚を物理的に取り除くため、その皮膚が再びできることはありません。これが、ヒアルロン酸注入や糸を使う施術と根本的に異なる点です。
ただし、手術のあとも変化し続けるものがあります。ひとつは残ったまぶたの皮膚です。上まぶたの加齢変化を組織学的に調べた研究では、加齢による変化は主に皮膚と皮下組織で起こっており、皮膚の弾力を支える弾性線維が変性・断裂していることが確認されています⁴。この変化は手術で止まるものではなく、残った皮膚は年齢とともにゆっくりとゆるんでいきます。
もうひとつは眉毛の位置です。眉毛はおでこの筋肉(前頭筋)で支えられており、加齢や筋肉の使い方によって少しずつ下がります。眉毛が下がると、まぶたの皮膚を上から押し下げることになるため、皮膚の量が変わっていなくてもかぶさりが強く見えます。
つまり、眉下切開の効果は「切り取った皮膚の分だけ、ずっと続く」もので、そこに「残った皮膚と眉毛の加齢」が上乗せされていく、と理解しておくとよいでしょう。
術後に「戻った」と感じる3つの理由

眉下切開のあとに「戻ってきた」と感じる場合、その理由は大きく3つに分けられます。どれに当たるかによって、対処の方法がまったく違います。
① 眉毛の位置が下がった
意外に知られていませんが、眉下切開のあとは眉毛の位置がやや下がります。まぶたが重いとき、私たちは無意識におでこの筋肉で眉毛を持ち上げて視界を確保しています。手術でまぶたが軽くなると、この「眉を上げる力」が抜けるため、眉毛が本来の位置に落ち着くのです。
上まぶたの手術全般について17の研究をまとめた系統的レビューでは、術後に眉毛の高さが平均およそ1.5mm下がると報告されています³。眉下切開に限った研究では、術後6ヶ月以降の眉毛の位置は安定しており¹、下がるとしても術後の早い時期の変化が主で、その後どんどん下がり続けるわけではありません。ただ、術前の写真と比べると「眉が下がった分、かぶさりが残ったように見える」ことはあります。
② 残った皮膚のゆるみが進んだ
手術で余分な皮膚を取り除いても、残った皮膚の加齢は続きます⁴。とくに紫外線を長年浴びてきた皮膚は弾性線維の変性が進みやすく、術後10年、20年と経つうちに、再び皮膚のたるみが目立ってくることがあります。これは手術の「失敗」や「効果切れ」ではなく、新たに進んだ加齢変化です。
興味深いのは、60歳以上の方を対象にした研究で、二重のラインからの皮膚切除だけを行い、眉下の厚い皮膚を取らなかった方では、術後1年で再び皮膚の余剰が出てきたのに対し、眉下の厚い皮膚を同時に切除した方では長期の結果が安定していたという報告です⁵。眉毛に近い厚く重い皮膚を取り除くことが、持続性の面でも有利に働くことを示唆しています。
③ 隠れていた眼瞼下垂が進んだ
3つ目は、皮膚の問題ではなく、まぶたを持ち上げる筋肉の腱(挙筋腱膜)がゆるんでくる眼瞼下垂です。眉下切開は皮膚のかぶさりを取る手術であり、腱膜のゆるみは治せません。術前に軽度の眼瞼下垂が隠れていた場合、あるいは術後に加齢で眼瞼下垂が進んだ場合、「まぶたが開きにくい」「目が小さくなった」と感じ、それを「眉下切開の効果が切れた」と誤解されることがあります。
この場合に必要なのは眉下切開のやり直しではなく、眼瞼下垂の手術です。当院では、眉下切開を検討される方には術前に眼瞼下垂の有無を確認し、両方が必要な場合は眉下切開を先に行う方針にしています。
▶ 眼瞼下垂と眉下切開のどちらを選ぶべきかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
術式によって持続性は変わる?眉下切開・二重ラインからの切除・前額リフトの違い

上まぶたのかぶさりを取る手術には、眉下切開のほかに、二重のラインから皮膚を切除する方法や、おでこ側から眉ごと持ち上げる前額リフト(おでこリフト)があります。それぞれ「何を取り、何が残るか」が違うため、長期的な見え方も異なります。
※横スクロールできます。
| 術式 | 取り除くもの | 長期的に変わりうるもの | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| 眉下切開 | 眉毛に近い厚く重い皮膚 | 残った薄い皮膚のゆるみ・眉毛の位置 | まぶたが厚く、眉毛の位置が低くない方・目尻側のかぶさりが強い方 |
| 二重ラインからの皮膚切除(眼瞼下垂手術を含む) | 二重ライン周囲の薄い皮膚(腱膜の処置も可能) | 上からかぶさる厚い皮膚のゆるみ・眉毛の位置 | 眼瞼下垂を合併している方 |
| 前額リフト(おでこリフト) | おでこの皮膚(眉毛の位置を上げる) | おでこの皮膚のゆるみ | まぶたが厚く、眉毛の位置が低い方 |
眉下切開の特徴は、眉毛に近い厚く重い皮膚を切除し、二重ラインに近い薄い皮膚が残る点です。二重のラインから皮膚を切除する方法では、二重ラインの上に眉毛に近い厚い皮膚がかぶさる形になるのに対し、眉下切開ではその厚い皮膚そのものがなくなります。このため、二重の幅は広がりラインは変わるものの、目もとの雰囲気や印象は術前と比べて変わりづらく、術後に顔や目の印象を変えたくない方に向いています。
持続性の面でも、前述の研究⁵が示すように、厚く重い皮膚を取り除いておくことは長期の安定に有利です。一方、眉毛の位置がもともと低い方が眉下切開を受けると、術後にさらに眉が下がって圧迫感のある目もとになることがあるため、当院では前額リフト(おでこリフト)をおすすめしています。
▶ 前額リフト(おでこリフト)と眉下切開の違いについては、こちらの記事をご覧ください。
長く持たせるために、術前に確認したいこと

眉下切開の効果を長く保つために大切なのは、実は術後のケアよりも術前の見極めです。当院では、次の点を診察で確認しています。
眉毛の位置は低くないか
眉毛の位置が低い方に眉下切開を行うと、術後にさらに眉が下がり、数年後に「またかぶさってきた」と感じやすくなります。この場合は前額リフト(おでこリフト)のほうが、長期的に見て満足度が高いことが少なくありません。
眼瞼下垂が隠れていないか
皮膚のかぶさりの裏に眼瞼下垂が隠れていると、眉下切開だけでは「目の開き」が改善せず、時間が経つほど物足りなさを感じます。当院の経験上、眉下切開のみでも軽度の眼瞼下垂はわずかに改善しますが、はっきりした眼瞼下垂がある場合は、眉下切開のあとに眼瞼下垂手術を行う2段階の計画を立てます。眼瞼下垂手術は「あとで眉下切開をする前提か、しない前提か」でデザインがまったく異なるため、両方行うなら眉下切開が先です。
皮膚を取りすぎていないか
「長く持たせたいから多めに取ってほしい」というご希望をいただくことがありますが、取りすぎた皮膚は戻せません。まぶたが閉じにくくなったり、眉毛と目の距離が近づきすぎて圧迫感が出たりするリスクがあります。当院では、座った姿勢で皮膚のたるみを確認しながら、余裕を持った切除量を設計しています。
目尻側のかぶさり(lateral hooding)とまぶたの厚みはどの程度か
目尻側のかぶさりは、二重ラインからの切除では取りきれないことが多く、眉下切開のよい適応です。また、まぶたの厚みの原因である眉下の脂肪(ROOF)を皮膚と一緒に処理した67名の報告では、修正手術がほとんど必要なく、6ヶ月の時点で目尻側のかぶさりの改善が維持されていました⁶。厚みの原因まで手術で取り除いておくことが、長期的な満足につながります。眉下切開と眼輪筋などの固定を組み合わせた38名の報告では、目尻側で平均3.8mmの改善が得られ、6ヶ月から2年の経過で高い満足度が維持されていました²。
▶ 眉下切開が向いている方・向いていない方については、眉下切開のご紹介ページでも解説しています。
10年後・20年後に再手術は必要?

眉下切開のあと、10年、20年と経って再び手術が必要になるかどうかは、「何が変わったか」によって決まります。多くの方は、そのまま追加の手術を受けずに過ごされます。
残った皮膚のゆるみが進んだ場合は、同じ眉下のラインからもう一度皮膚を切除することができます。傷あとは前回と同じ位置に重なるため、新たな傷が増えることはありません。眉下切開は、上まぶたの手術のなかでも再切除に比較的対応しやすい術式です。ただし、時間が経っても前回の瘢痕(はんこん)そのものは残っているため、初回に比べて手術の難易度は上がります。
眉毛が下がってきた場合は、眉下の皮膚をさらに取るのではなく、前額リフト(おでこリフト)で眉毛の位置そのものを上げることを検討します。眉毛の位置が低くなった状態でさらに眉下の皮膚を取ると、眉と目の距離がますます近づいてしまうためです。
眼瞼下垂が進んだ場合は、眉下切開ではなく眼瞼下垂手術が必要です。機能的な症状があり基準を満たす場合は、保険適用で受けられることがあります。
なお、当院で受けた自費の手術については、術後1年以内で切開部位が同じ場合、再手術に追加料金はかかりません(追加手術時の術後のお薬代は別途かかります)。それ以降の再手術は自費診療となります。費用の詳細は料金表をご確認ください。
▶ 眉下切開の費用と保険適用の条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
当院の眉下切開に対する考え方

かつむらアイプラストクリニックは、眼形成を専門とし、まぶたの手術を年間2000件前後行っています。眉下切開を「何年持つか」という視点で考えるとき、当院が大切にしているのは、術前の診断と、長期の経過を見届ける体制です。
院長は眼科専門医として、皮膚のかぶさりの裏に眼瞼下垂やドライアイなどの目の問題が隠れていないかを診察のうえで判断します。手術はすべて手術用顕微鏡下で行い、皮膚の縫合には細い糸を用いて、傷あとが目立ちにくくなるよう最大限の努力をしています。眉下切開は二重のラインからの手術に比べると、人によっては傷あとが目立つことがある術式ですので、この点は術前に率直にお伝えしています。
術後は1週間・2ヶ月・6ヶ月の節目で診察を行い、デジタル一眼レフカメラでの写真撮影で経過を記録します。術後の調整が必要な場合は、組織が落ち着く6ヶ月以降に検討します。10年後、20年後に「またかぶさってきた」と感じたときも、術前・術後の写真が残っているため、何が変わったのかを客観的に比較して次の治療を計画することができます。
▶ 上まぶたのたるみ・眉下切開の治療メニューは、こちらのページをご覧ください。
術後の過ごし方と、持続性に関わる生活習慣

眉下切開の効果を長く保つために、術後の過ごし方と、その後の生活習慣で気をつけたいことをまとめます。
術後の過ごし方(目安)
腫れや内出血は2〜3週間で落ち着くことが多いですが、非常に個人差の大きい部分です。傷あとの赤みはおよそ6ヶ月で落ち着くことが多く、1年ほど続く場合もあります。最終的な仕上がりは術後3〜6ヶ月が目安です。
▶ 眉下切開のダウンタイムの経過は、こちらの記事で詳しく解説しています。
長期的に気をつけたい生活習慣
- 目をこすらない:まぶたの皮膚は体の中でもっとも薄く、こするたびに引っ張られて伸び、皮膚の弾力を保つ組織が傷んでいきます。花粉症やアレルギーで目がかゆい方は、点眼薬で症状を抑えることが、まぶたの皮膚を守ることにもつながります。
- 紫外線対策をする: 上まぶたの加齢変化を調べた研究では、皮膚の弾性線維の変性(日光弾性線維症)が主な変化として確認されています⁴。日焼け止めやサングラスで紫外線を避けることは、残った皮膚のゆるみの進行をゆるやかにするうえで意味があります。
- 眉毛を上げるクセに気づく:まぶたが軽くなったあとも、長年のクセでおでこの筋肉に力が入り続ける方がいます。前頭筋の緊張が強い方は術後もおでこのシワが変わらないことがあり、鏡を見るときに眉を上げていないか意識してみるとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)

- 眉下切開の効果は一生続きますか?
- 切り取った皮膚は再生しないため、手術で得られた変化そのものは長期にわたって維持されます。ただし、残った皮膚の加齢と眉毛の位置の変化は続くため、「手術をしなかった場合と比べて、取った皮膚の分だけたるみの少ない状態が続く」と考えていただくのが正確です。「一生変わらない」わけではありません。
- 何年くらいで「またたるんできた」と感じますか?
- 個人差が非常に大きい部分です。術後1〜2年の範囲では仕上がりが安定していることが研究で示されていますが¹²、それ以降は年齢、皮膚の質、紫外線の影響、眉毛の位置の変化などによって異なります。10年以上経っても追加の手術を受けずに過ごされる方も多くいらっしゃいます。
- 眉下切開のあと、眉毛は下がりますか?
- やや下がります。まぶたが軽くなることで、眉を持ち上げていたおでこの力が抜けるためです。上まぶたの手術全般では平均およそ1.5mmの眉の下降が報告されています³。ただし、眉下切開に関する研究では術後6ヶ月以降の眉の位置は安定しており¹、ずっと下がり続けるわけではありません。眉毛の位置がもともと低い方は、前額リフト(おでこリフト)のほうが向いています。
- 若いうちに受けると、効果は早く切れますか?
- いいえ。若い方でも、切り取った皮膚は戻りません。むしろ皮膚の弾力が保たれている年代のほうが、傷あとの治りや仕上がりが安定しやすい面があります。ただし、まぶたの厚みやかぶさりがまだ軽い段階では、手術の必要性そのものを慎重に判断する必要があります。
- 効果を長持ちさせるために、多めに皮膚を取ってもらうことはできますか?
- おすすめしていません。取りすぎた皮膚は戻せず、まぶたが閉じにくくなったり、眉と目の距離が近づきすぎて圧迫感のある目もとになったりするリスクがあります。長期の満足度を高めるのは切除量の多さではなく、眉毛の位置・眼瞼下垂の有無・目尻側のかぶさりの程度を正しく見極めることです。
- 再手術は初回より難しくなりますか?
- 眉下切開は、同じラインから再切除できるため、上まぶたの手術のなかでは再手術に比較的対応しやすい術式です。ただし、時間が経っても前回の瘢痕そのものは残っているため、初回に比べて難易度は上がります。また、「戻った」原因が眉毛の下降や眼瞼下垂の場合は、眉下切開のやり直しではなく別の手術が適しています。
- 再手術の費用はどうなりますか?
- 当院で受けた自費の手術については、術後1年以内で切開部位が同じ場合、再手術に追加料金はかかりません(追加手術時の術後のお薬代は別途かかります)。それ以降の再手術は自費診療となります。詳しくは料金表をご確認ください。
まとめ

眉下切開で切り取った皮膚は元に戻らないため、手術の効果そのものは長期にわたって維持されます。研究でも、術後1〜2年の範囲で眉の位置や満足度が安定していることが示されています¹²。
一方で、術後に「戻った」と感じる場合、その理由は多くの場合、①眉毛の位置の変化、②残った皮膚の加齢、③隠れていた眼瞼下垂の進行、のいずれかです。それぞれ対処法が異なるため、「眉下切開のやり直し」が正解とは限りません。
効果を長く保つために大切なのは、術前に眉毛の位置・眼瞼下垂の有無・目尻側のかぶさりの程度を正しく見極め、ご自身に合った術式を選ぶことです。眉下切開が何年持つのか、ご自身の場合はどうなのかが気になる方は、かつむらアイプラストクリニックへお気軽にご相談ください。
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