どんな病気・ドライアイの特徴とは?
ドライアイとは、簡単に言うと「目が超乾いてゴロゴロする」という症状のことですが、正確な定義があります。
それは「様々な要因により涙液層(るいえきそう)の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある」です。
つまり、「涙液層(るいえきそう)の不安定さが原因で、眼球に違和感がある」のがドライアイ、ということです。
参照元はこちら
【ドライアイ研究会HPをご参照ください】
ドライアイ
ドライアイを理解していただくために重要な
眼球の解剖についての動画です。
ドライアイを理解していただくために重要な
まぶたの役割についての動画です。
ドライアイを語るうえで欠かせない
涙(涙液)の役割についてお話ししました。d
ドライアイとは、簡単に言うと「目が超乾いてゴロゴロする」という症状のことですが、正確な定義があります。
それは「様々な要因により涙液層(るいえきそう)の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある」です。
つまり、「涙液層(るいえきそう)の不安定さが原因で、眼球に違和感がある」のがドライアイ、ということです。
参照元はこちら
【ドライアイ研究会HPをご参照ください】
来院される方の症状で多いのは「目が超乾いてゴロゴロする」です。ドライアイは、目を保護する「涙の量」や、「涙の質(成分)のバランス」が崩れ、目の全体へ均等に涙が行き届かず、乾きなどの自覚症状を感じる病気です。
チェック項目が複数ある方は眼科への受診をお勧めいたします。
※長期間(3ヶ月目安)続く内容にはチェックすると、実際のご自身の状況との差異が少なくなります。
原因不明でまぶたがピクピク痙攣する病気です。眼瞼痙攣患者の51%が「目がしょぼしょぼする」といったドライアイに似た症状を持っているため、ドライアイと間違って診断されている場合も少なからずあります。
眼球の壁は3層構造になっていますが、半透明な膜である「結膜」がそれらを包んでいます。
皮膚と同じで加齢とともに結膜がたるみますが、たるんだ結膜は「まばたき」のたびにまぶたとこすれ、違和感、充血などの症状が出てきます。
これを「結膜弛緩症」といいますが、症状がドライアイと似ているため間違われることも少なくありません。
医学的には「眼不快感や視機能異常などの自覚症状があり、かつBUTが5秒以下」をドライアイと診断します。
BUTとはBreak Up Timeの略で、「まばたき直後に眼球を覆っている涙液層(るいえきそう)が崩れるまでの時間」のことです。
眉毛の後ろで作られた涙は、まばたきによって眼表面にいきわたり涙の層(涙液層)を作ります。
そして、涙を黄色く染めて詳細が分かるようにした検査を「フルオレセイン染色」といい、まばたきした直後は涙が眼球全体にいきわたっているため、眼球表面が均一に黄色く染まります。
まばたきを我慢していると涙液層が次第に壊れ、眼球表面がむき出しになります。
そして、まばたきした直後から涙液層が壊れるまでの時間をBUT(Break Up Time(ぶれいく あっぷ たいむ))といいます。
正常は10秒以上ですが、ドライアイの場合は5秒以下です。
このフルオレセイン染色検査は眼科でないとできません。
つまり、BUTを眼科で計測しないと、本当にドライアイなのかどうかはわかりません。
ドライアイは、涙の量が減ってしまう「量的な異常」と涙の性質や涙を保持する能力が変化する「質的な異常」の2つに大きく分類することができます。
「量的な異常」とは、作られる涙の量そのものが少ない状態です。スティーブンス・ジョンソン症候群やシェーグレン症候群などの病気もありますが、大きな原因は加齢です。作られる涙の量は、10歳代に比べ以下のようになります。
年代 | 割合 |
---|---|
20歳代 | 64% |
30歳代 | 51% |
40歳代 | 37% |
50歳代 | 33% |
60歳代 | 32% |
70歳代 | 21% |
つまり、10歳代に比べると70歳代の涙液産生量は5分の1に減少します。3)
涙液産生量が減ると眼球が涙で潤いづらくなるため、ドライアイになりやすくなります。
「質的な異常」とは涙の成分の異常です。
涙の成分とは、涙を安定化させているマイバム(油)やムチンと呼ばれるタンパク質などのことを指します。これらに異常があると、作られる涙の量が十分でも涙が目の表面に留まらずにすぐに乾いてしまいます。
まぶたの縁には瞼板という横長の硬い板が存在し、瞼板の中には油を作る「マイボーム腺」があります。そして、作られた油(マイバムと呼ばれます)はまぶたの縁に開いた穴から出て、涙液層が乾かないようにコーティングしてくれているのです。
イメージとしてはBLTサンドイッチ、レタスの水分が涙液層で水分が逃げないようにパンに塗るバターが油層です。
ムチンとは結膜の一部の細胞から分泌される物質で、分泌型ムチンと膜型ムチンが存在して涙液の安定性に大きな役割を果たしています。
これらの物質が足りなくなると涙液が不安定になるため、涙液の産生量が十分であってもドライアイになります。やはり加齢とともにムチンの量は減っていきます。
加齢と伴にドライアイになりやすくなるというデータは出ておりますが、それだけでなく、最近はパソコンなどの画面を見て作業する、いわゆるVDT作業がドライアイを悪化させることが指摘されています。例えば、VDT作業が一日8時間以上の場合、8時間未満に比べてドライアイになる確率が約2倍になるとのデータが出ています。4)
昨今、デスクワーク、リモートワークが進み、PC(パソコン)など液晶画面を見る時間が長くなる傾向がビジネスシーンでも増えているので注意が必要です。
また、「目が乾く」自覚症状がなくても「眼不快感」や「見づらい」だけのドライアイもありますので、気になったら専門の医師への受診をお勧めします。
ドライアイは「量の異常」と「質の異常」があります。
当院では、「量の異常」をチェックする検査としてはシルマーテストがあります。
これはまぶたと眼球の間に5分ほど小さなろ紙を挟み、出てくる涙でどれくらいろ紙が濡れるかを計測する検査です。正常は10mm以上です。
「質の異常」を測定するのは、眼科の診察室にある細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)を用いるBUTやTFOT(Tear Film Oriented Therapy、フルオレセインの染まり方で足りない物質(涙液が足りないのか、ムチンが足りないのか、油が足りないのかを判断する)といったような検査方法があります。
いずれの検査も、眼科の医院・病院でないと検査はできません。当院への来院が可能な方はご相談ください。
ドライアイの代表的な治療は、以下が挙げられます。
眼科を受診してドライアイと診断された場合、まずは点眼での治療になります。
現時点ではドライアイの治療薬は5種類ほどあります。
涙の成分に近く、「足りない分の涙を点眼で補おう」がコンセプトになります。
こちらは薬局で購入することができます。
皮膚科の保湿剤であるヒルドイド®と同じような意味合いで、「眼球を保湿して乾燥(ドライアイ)を防ぎましょう」がコンセプトになります。
角膜(かくまく)に傷がある場合によく用いられます。
涙液を安定化するムチン(特に分泌型ムチン)や水分を産生します。
「足りていないムチンや水分を増やして涙液を安定化させましょう」がコンセプトになります。
涙液を安定化するムチン(特に膜型ムチン)を産生します。
「足りていないムチンを増やして涙液を安定化させましょう」がコンセプトになります。
ドライアイには眼球の炎症が関わっています。
「ドライアイの原因となっている炎症を抑えましょう」がコンセプトになります。
これらを組み合わせて治療しますが、効果が不十分な場合は他の治療を併用します。
涙(涙液)は眉毛の後ろにある「涙腺」で産生されて「鼻腔(鼻の中)」へ排泄されます。
その際、眼球表面にたまった涙が通る排水口(上涙点、下涙点(かるいてん))に栓をして涙をためるのが「涙点(るいてん)プラグ」です。
まぶたを温めたり、まぶたを押すことで油の排泄を改善させる機器等様々なものが世の中に出ています。
これまでの治療に比べ、まぶたを根本から改善させてドライアイを治療することに焦点を当てた治療です。
レーザーの中で、導入する施設が爆発的に増加しているのかIPL(Intense Pulsed Light)です。フォトフェイシャル、と言えばピンとくる方もいらっしゃるでしょうか?
この機器はもともと戦闘機などの塗装をはがすための技術だったものを美容医療に転用しており、様々な波長を出すことで小ジワ、シミ、赤ら顔、脱毛などに対する効果があります。
そして、IPLがドライアイに対しても効果があることが最近報告されています。
効果がある理由として下記が挙げられます。
上記などと推測されていますが5)、まだはっきりとしたことはわかっておりません。
「お手軽で安全に施行でき、しかも審美的な効果も狙える」機器として数多くの眼科施設で取り入れられていますが、レーザーであることに間違いはなく以下のリスクはありますので、眼科のみでなく審美(シミや肝斑)的なこともしっかりと把握できている医師の下で治療を行う方が良いと思います。
FOTONA社のSP Dynamis PROという機器で、日本国内の眼科クリニックでは当院が最初に導入します。
SP Dynamis PROは2波長レーザー最上位機種で組織を焼くこと無くレーザーのエネルギーを深く入れられる特徴を有しています。本来は皮膚表面と粘膜の両方からまぶたも含めたたるみ治療を目的とした機器ですが、最近、ドライアイに効果があることが報告されました。6)
また、この機器は本物志向で、一般的なフォトフェイシャルやレーザーフェイシャルと比較すると3回分くらいの効果が1度で体感できると言われ、患者様の満足度は非常に高い治療となっています。
当院のような「審美的な知識や技術をしっかりと持ち合わせた眼科専門医」ならではの「ドライアイとクマの同時治療」といえます。
01) Prevalence of Diagnosed Dry Eye Disease in the United States Among Adults Aged 18 Years and Older.Farrand et al.Am J Ophthalmol. 2017 Oct;182:90-98
02) Dry Eye Disease: Prevalence, Assessment, and Management. Rouen PA, White ML.Home Healthc Now. 2018 Mar/Apr;36(2):74-83.
03) Tear film changes associated with normal aging.Mathers et al.Cornea. 1996 May;15(3):229-34.
04) VDTとドライアイ(解説/特集)内野美樹 臨床眼科(0370-5579)74巻12号1414-1419.2020
05) Intense pulsed light for evaporative dry eye disease.Dell SJ.Clin Ophthalmol. 2017 Jun 20;11:1167-1173.
06) 眼瞼結膜エルビウムヤグレーザー照射の効果比較試験 井上佐智子ら 日本抗加齢学会.