浦和駅西口徒歩4分の眼科です。
眼瞼痙攣
人間は「まぶたを閉じろ！」という命令が脳 → 神経 → 筋肉 という順番で伝わりまぶたを閉じていますが、脳の一部が異常をきたしてまぶたがピクピクと痙攣するようになることを「眼瞼痙攣」といいます。
発症すると日中まぶたを自由に開けることができず、下記のような割合で症状が出ることが確認されています。1)
| 光がまぶしい | 95% |
|---|---|
| 目をつぶっていた方が楽 | 92% |
| 目が乾く | 51% |
| 目が自然に閉じてしまう | 49% |
| 目がゴロゴロする、 うっとおしいと感じる |
41% |
| まぶたが下がる | 29％ |
| 片目つぶりになってしまう | 26% |
| 指を使わないとまぶたを開けない | 16% |
| 眉間にシワが寄る | 12％ |
| 目の周囲が動く | 8% |
まぶたが痙攣する病気で、こちらはストレスが原因とされています。
大きな違いは、1～2カ月で自然治癒することです。また、後述する「速瞬テスト」「強瞬テスト」も問題なくこなすことができます。
まぶたを上げる筋肉がうまく働かなくなることでまぶたが下がる病気です。
まぶたを閉じる筋肉が過剰に働くことでまぶたが下がるため、間違われることがあります。
約半数が「目が乾く」といったドライアイ症状を自覚しています。
ドライアイと診断され治療を受けても改善しない場合、実は眼瞼痙攣が潜んでいることが多く、注意が必要です。
リズミカルにまばたきをできるかどうかというテストです。
リズミカルにまばたきできれば、眼瞼痙攣ではなく眼瞼ミオキミアの可能性が高いです。しかし、リズミカルにまばたきできない場合は眼瞼痙攣の可能性が高く、自然治癒が見込めません。
まぶたをギュッと強くつぶった後にすぐにまぶたを開けられるかというテストです。
すぐにまぶたを開けられたら、眼瞼痙攣ではなく眼瞼ミオキミアの可能性が高いです。しかし、すぐにまぶたを開けられなかったり、まぶたの痙攣がひどくなる場合は眼瞼痙攣の可能性が高くなります。
年齢(加齢)と関係しており、55歳以下に比べ、55～63歳は約2倍、63歳以上は約3.5倍かかりやすくなっています。2)
脳の一部に異常があるとされいろいろな研究がなされていますが、世界中で認められた論文はまだなく、実際のところはまだよく分かっていません。
しかし、気分をリラックスさせる薬(エチゾラムやベンゾジアゼピン)が原因の眼瞼痙攣(がんけんけいれん)も報告されておりますし3)、うつ病やパーキンソン病などと関係しているとも報告されています。
疾患を見分けるために行う「速瞬テスト」「強瞬テスト」がうまくできない場合は、眼瞼痙攣の可能性が高いので、早めの専門医師への受診をお勧めいたします。
また、これらのテストで問題がなくても、まぶたの痙攣が1カ月以上続く場合は、可能性が高くなり、まれなケースでは脳に腫瘍(しゅよう)ができていることもあります。まぶたの痙攣が気になる場合、特に1カ月以上続く場合は専門の医師の診察を受けることをお勧めします。
疾患を見分けるために行う「速瞬(そくしゅん)テスト」や「強瞬(きょうしゅん)テスト」だけでなく、自分でチェックできる質問10項目があります。これらのうち、該当項目が1～2個で疑いがあり、3個以上で眼瞼痙攣の可能性が高い、とされています。
専門である私たちは、様々な角度から眼瞼痙攣(がんけんけいれん)か否かを判断しております。
治療は、大きく分けると2つあります。
ボツリヌス毒素注射は、美容の「しわ取り」にも使用されており、まぶたを閉じる筋肉(眼輪筋(がんりんきん))の動きを止めることでまぶたの痙攣を改善させます。効果は翌日くらいから現れ、3～6カ月持続します。
データ上は80～90%の患者さんに効果があり、繰り返し注射することにより15~20%の患者さんは注射が不要になるとされています。
薬剤は患者様の自己負担、注射などの手技料は保険が適用されます。
しかし、裏を返せば約80％の患者様は注射を繰り返し打ち続けなければならないので、精神的な負担や金銭的な負担も出てきます。
ボツリヌス毒素注射を繰り返すのがつらい場合は手術になります。
手術は様々なやり方が報告されています。具体的には以下の施術方法が挙げられます。
専門的になりますが、眼瞼痙攣は「強直型(閉じたまぶたを開けられなくなる)」と「間代型(つねにピクピクしている）」という2つのタイプがあるといわれています。そして「強直型」にはADM手術が、そして「間代型」には眼輪筋切除術が効果的ともいわれています。
しかし、いずれにしろ「絶対に治ると」断言できるものはまだありません。
当院では、ボツリヌス毒素注射を繰り返し行ってもすぐ元に戻ってしまう方に限り、相談の上で手術を行っています。
100万人当たり16～133人であるとされていますので4)、2020年の日本の人口が125,708,382人であることを考えると、日本での患者数は2,000～16,700人であると推定されます。
01) 眼瞼痙攣とは 山上明子 眼科62巻2号 Page103-106 2020.
02) Riskfactorsforspreadof primary adult onsetblepharospasm: a multicentre investigation of the Italian movement disorders study group. Defazio et al..J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1999 Nov;67(5):613-9
03) Etizolum and Benzodiazepine induced blepharospasm. J Neurol Neurosurg Psychiartry 75: 506-7,2004
04) Blepharospasm:Updateon Epidemiology, Clinical Aspects, and Pathophysiology.Valls-Sole J, Defazio G.Front Neurol. 2016 Mar 31;7:45
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