手術を生業とするよう…
当院が埋没法での二重整形を絶対に行わない4つの理由
当院は、「まぶたの手術と涙の治療」を専門としたクリニックとして2021年9月に開院いたしました。
徐々に認知され、手術も約1カ月待ちとなっております。
眼瞼下垂など保険診療での手術を中心に行っておりますが、眼瞼下垂の手術の中に重瞼(二重)術の技術も詰まっているため、眼瞼下垂の手術同様、重瞼(二重)作成も私のライフワークになります。
そういったことをご存じなのか、自費での重瞼(二重)術希望の患者様も本当に多く来院されます。
しかし、当院での重瞼(二重)術には、大事にしているポリシーがあります。
それは、「埋没法は行わない」。
なぜなら、後述しますが、「埋没法」は取れる確率が高く、しかも元通りには戻らない、という、良いところがない術式だからです。
今回は、重瞼(二重)術の方法とその比較についてお話します。
埋没法と切開法の説明
こちらに詳しく記載しています。
埋没法は、簡単に言うと「プチ整形」です。
数か所に穴を開け、重瞼(二重)を作成します。
反対に、切開法は皮膚をしっかり切開して重瞼(二重)を作成します。
メリット | デメリット | |
埋没法 |
・手術時間が短い ・腫れない?? ・元に戻すことができる |
・再発する(取れる) ・眼球を傷つけることがある |
切開法 | ・長持ちする |
・元に戻すことができない ・術後腫れる(?) |
巷では「埋没法の本当のデメリット」を書いていないことが多いので、今回は「埋没法の本当のデメリット」について挙げたいと思います。
埋没法の本当のデメリット
① 術後に腫れない 腫れる
「~式重瞼術(埋没法)は腫れない!」
こんな文言を見たことはないでしょうか?
こんなことを書かれたら、埋没法の手術を受けたくなるかもしれません。
ある面では正しいと言えますが、ある面では間違っています。
これはどういうことなのでしょうか?
埋没法は解剖を見ずに、盲目的に針をまぶたの中に通します。血管は見えません。
この際、100%の確率で太い血管を傷つけないようにすることは、どんな名医でもできません。
例えていえば「どんなに上手な人が採血しても内出血(青タン)ができることがある」のと同じです。
ですから、手術時に太い血管に当たらなければ「腫れない」手術となりますが、たまたま太い血管に当たると内出血をおこして「腫れる」手術となります。
埋没法を数多く執刀している医師の手術同意書にも、「術後は腫れる場合があります」と必ず書いています。
② 長持ちするしない
「~式重瞼(二重)術は長持ちする(取れにくい)」という広告を見たことはありませんか?
何と比べて「取れにくい」のか分かりませんが、切開法と比べて長持ちする(取れにくい)埋没法は世の中に一つもありません。
そもそも、手術で作った重瞼(二重)が数カ月以上長持ちするのは糸の力で二重が持続しているわけではありません。糸周囲にできた、まぶた内部の傷あと(瘢痕:はんこん)により持続しています。これは埋没法も切開法も変わりません。すべての手術において通じる話です。
上の図を見ても一目瞭然ですが、固定されている範囲が全く違います。
原則として「固定されている範囲が広い= 重瞼(二重)が長持ちする」ので、「埋没法は切開法よりも長持ちしない」といえます。
埋没法は、留める箇所(入れる糸の本数)の違いにより2点留め、3点留め、4点留めなどの種類があります。
確かに留める箇所が多い4点留めは、留める箇所が少ない2点留めよりも固定力が強いはずですが、その分腫れます。
埋没法の唯一のメリットであるはずの「腫れない」は、どこに行ったのでしょうか?
③ 元に戻すことができる できない
最近、「気に入らなければ埋没法の糸を抜糸して元に戻します」という宣伝を見かけます。
しかし、抜糸をして元の状態に戻すことができるのは、せいぜい術後2週間までです。
埋没法の効果が2週間以上持続している時は、糸の力で二重が持続しているわけではなく、糸周囲にできた、まぶた内部の傷あと(瘢痕:はんこん)により持続しています。
二重を作成する力が非常に弱い埋没法であったとしても、2週間で作成されたまぶた内部の瘢痕は残ります。しかも中途半端な形で。
当院によく来院される、埋没法手術後に二重が中途半端に残っている典型的な写真はをお示しします。
まぶたにごくごく浅いスジが残っています。
そもそもこの方は眼瞼下垂のため二重にしただけでは不十分なのですが、それは今回はあえて触れません。(この方の当院での術後写真はこちら)
術後2週間以降に抜糸ができたとしてもまぶたの中に瘢痕が残っているため、このようなスジが残る可能性は高く、元に戻すことはできないことがほとんどです。
そんな中途半端な手術法、あなたは受けたいでしょうか?
④ 安全 眼球を傷つけることがある
これは、眼科医としてキャリアを出発させ眼科専門医も取得した立場から、事あるごとにお伝えしています。
埋没法の糸は、まぶたの裏にのこり、眼球を傷つけることがあります。
下写真は、20年前に受けた「重瞼(二重)術 埋没法」の糸が眼球を傷つけた時の診察写真です。
黄色く染まっているのは、すべて眼球にできた傷です。本来は眼球を染めても、このような傷はありません。
傷の原因となっている糸は、当院で手術して取りました。
終わりに
いかがでしたでしょうか?
私の結論としては、「重瞼(二重)術 埋没法」にメリットはありません。
当院では、私自分が心の底から「良い手術(施術)、正しい手術(施術)である」と思わないものに関しては扱っておりません。
それは、効果がない、再発する手術(施術)を行い、うしろめたさを隠しながらウソ笑いを患者さんに向けることをしたくないからです。当院のポリシーである「曇りのない医療(honesty)」を貫きたいからです。
術後の腫れは若干ありますが、当院では顕微鏡を用いて繊細な手術を行い、切開法でもなるべく腫れないようすべての患者さんと向き合っております。
不明点がございましたら、当院へ一度お越しください。
院長 勝村宇博
- 記事監修
- 院長 勝村宇博
- 当院は、私の専門分野であるまぶた(目もと)の手術や涙(ドライアイ、涙道閉塞)の治療を専門とした眼瞼下垂(がんけんかすい)や目もとの審美手術を中心に診療を行っています。 様々な学会に所属し、機能面と審美面両面とも妥協せずに治療を行っております。 また、レーザー治療など新しい治療も取り入れております。