今回は、眼瞼下垂の手術を検討し…
下まぶたのたるみ取り(クマ取り)手術 「切らない手術」は良い手術か?
今年も早いもので12月、師走です。
毎月100~140件、年間1200~1500件近くのまぶた、涙道手術と向き合う中で、技術が日々成熟していくのを実感していますが、「すべての患者さんに喜んでいただける」ことを目標に、毎日己を律して生活しています。
当院では、「下まぶたのたるみ取り(クマ取り)手術」も数多く行っています。
世間的に「下まぶたのたるみ取り(クマ取り)手術」が流行しております。
そして、流行させているクリニックでは、「切らない『下まぶたのたるみ取り(クマ取り)手術』」が行われていることが多いようです。
この「切らない手術」は良い方法なのでしょうか?
今回は、「切らない『下まぶたのたるみ取り(クマ取り)手術』」について少しお話します。
下まぶたのたるみとは
眼球は周りを骨に囲まれていますが、眼球と骨との間には、脂肪があります。
これを「眼窩脂肪」といいます。
10代、20代では、眼窩脂肪は皮膚や組織に抑えられて前に出てこないようになっています。
しかし、加齢や紫外線の影響で、以下の変化が出てきます。
- 皮膚や組織がたるみ、脂肪が前に出てくる
- 骨が委縮してへこむ
この下まぶたの凹凸が、下まぶたのたるみ、いわゆる「クマ」です。
下まぶたのたるみ マッサージや薬は効果があるのか?
最近、「これを使えば目の下のたるみが取れる!」みたいな広告を頻繁に目にするようになりました。また、「眼輪筋を鍛えればたるみが改善します」と発言している方もいます。
これらは正しいのでしょうか?
事実をお話しすると、これらが正しいという論文は2022年12月1日の現時点で一つもありません。
つまり、「薬やマッサージでまぶたのたるみが取れる」と全く証明されていません。
これらを信じるかどうか、皆さんに委ねます。
下まぶたのたるみ 治療方法
下まぶたのたるみに対する治療はいくつかありますが、細かく分けると以下になります。
- レーザー
- ヒアルロン酸注入
- 脂肪注入
- 手術(経結膜)
- 手術(経皮)
それぞれのメリット、デメリットは以下のページに記載しておりますので、もしよろしければご参考にしてください。
切らない「下まぶたのたるみ取り(クマ取り)手術」とは?
昨今一部で流行している「切らない下まぶたのたるみ取り(クマ取り)手術」は、上記の③、④を組み合わせたものです。
つまり、まぶたの裏(結膜)側から切開して、
眼窩脂肪を結膜側から脂肪を取る(のみ)なので、皮膚のたるみはそのままです。
以下の方は、たるみが残存するリスクを私からお話ししていたのですが、「皮膚を切る手術は受けたくない」と強く主張され「切らない手術」を受けた方です。

たるみ(クマ)は改善したが、皮膚のたるみが残り「シワになっている」
術式 |
下まぶた クマ(たるみ)取り手術 (経結膜) |
時間 | 約90分 |
金額 | 363,000円 |
副作用・リスク | 術後腫脹、結膜浮腫、術後出血 |
そして、最後に脂肪を注入します。
しかし、脂肪は一定量吸収される(なくなる)ので、多めに入れます。
すると、予想外に脂肪が多く残った場合は…こうなります(他院症例)。

脂肪を入れた部分が過度に膨らみ、 たるみが悪化している
当院は、必要な方には「切る手術」をお勧めしています
こ当院では、皮膚のたるみが強い方にはまず「切る手術」をお勧めしています。
なぜななら、「切る手術」は脱脂時に皮膚のたるみまで改善できるからです。
そして、たるみが残存した場合に後日脂肪注入を行います。
骨のくぼみが非常に強い場合は、切る手術と同時に脂肪注入を行います。
よく言われるのは、「切ると傷あとが残りませんか?」です。
下症例は当院で手術した症例です。
どうでしょうか?気になりますか?
顕微鏡で丁寧に縫えば、傷あとは目立たなくなることが多いです。
術式 |
下まぶた クマ(たるみ)取り手術 (経皮) |
時間 | 約150分 |
金額 | 495,000円 |
副作用・リスク | 術後腫脹、結膜浮腫、術後出血 |
術式 |
下まぶた クマ(たるみ)取り手術 (経皮)+脂肪注入 |
時間 | 約150分+40分 |
金額 | 495,000円+100,000円 |
副作用・リスク | 術後腫脹、結膜浮腫、術後出血 |