私がまぶたや涙という…
逆さまつげを眼科で抜くのは良くない?逆さまつげの直し方(治し方)
私は、2013年からまぶたや涙道の手術を始め、今年で9年目になります。
開院前は埼玉県の眼科クリニック数施設で週4日手術を行い、年間500~600件の手術を行っておりました。
約5年前に埼玉県のクリニックで働き始めた時、一番びっくりしたことが
「若い方の逆さまつげが完全に放置されていた」ということです。
眼瞼下垂とは違い逆さまつげを手術する施設が非常に少なく、必要な方でも手術を受けることなく眼科で漫然と逆さまつげを抜かれていました。
眼科に相談に行っても、数本抜かれて「様子を見ましょう」と言われてしまうことが多かったようです。
そして、このような状況はまだまだ多いため、今回は「逆さまつげの種類と治療法」についてお話ししたいと思います。
逆さまつげとは?
逆さまつげは、大きく分けると以下のようになります。
- 睫毛内反症・内眼角贅皮
- 眼瞼内反症
- 睫毛乱生症
① 睫毛内反症・内眼角贅皮
一言でいうと、「若い方の逆さまつげ」のことです。
まぶたの筋肉の枝により、まつ毛は通常前を向いています。
しかし、以下の場合にまつ毛は眼球側を向きます。
- 先天的に筋肉の枝がない
- 皮膚などのボリュームが多い
- 目頭の皮膚の張り出し(蒙古ひだ)が多い
そして、まつげが当たり眼球が傷ついている状態を「睫毛内反症」といいます。
また、内眼角贅皮とは目頭の皮膚の張り出し(蒙古ひだ)のことで、目頭の逆さまつげの大きな原因となっています。
② 眼瞼内反症
まぶたの位置は、筋肉(LER)や靭帯(外眥靭帯、内眥靭帯)により安定しています。
加齢により筋肉や靭帯が弛緩すると、まぶたが不安定になり、まばたきをするとまぶたが内側にそるようになります。これを「眼瞼内反症」といいます。
眼瞼内反症は、まぶたも含めてまつげが眼球表面に当たり、痛みや違和感を伴います。
③ 睫毛乱生症
まぶたの筋肉の枝は正常のため、基本的にまつ毛は前を向いています。
しかし、まぶたの縁にたまる涙のバランスの問題で、炎症が起こり一部のまつげのみ眼球に向かって生えてしまう場合があります。
これを「睫毛乱生症」といいます。
逆さまつげの治療法とは?
原因がそれぞれ違うために、治療法も異なります。
① 睫毛内反症・内眼角贅皮
年齢とともに顔つきが変化していく中で自然治癒していく場合が多く、10歳以下の場合は、まずは経過観察します。
しかし、以下の場合は手術を検討していただくことをお勧めいたします。
- 角膜の傷(点状表層角膜炎)が強く視力に影響が出ている
- 10歳以上でも治癒しない改善しない
そして、手術をする場合は、基本的には下記の手術を行います。
-
a. 下まぶたを切開する「Hotz変法」
-
b. 目頭の皮膚を切開する「内眥形成(目頭切開)」
これらを必要に応じて組み合わせ、治療します。
切らない手術、いわゆる「埋没法」などは再発率が高く、66.7%が再発したという報告もあります(Sundar et al : Epiblepharon in East Asian Patients:The Singapore Experience. AAO 2010)ので、お勧めはしません。
② 眼瞼内反症
加齢による筋肉や靭帯の弛緩が原因のため、これらを手術で治療します。
a. 筋肉の弛緩を治療する「Jones変法」
Jones変法のみで約9割は治癒します。
しかし逆に言うと、靭帯の弛緩が強い方は再発しますので、この場合は下記の手術を追加します。
b. 靭帯の弛緩を治療する「Lateral Tarsal Strip(LTS)」
LTSまで行った場合は、再発することはほとんどありません。
③ 睫毛乱生症
睫毛内反症・内眼角贅皮や眼瞼内反症とは違い、すべてのまつげが治療対象になることは少なく、問題のまつげのみ治療します。
そして、治療法は3つあります。
a. 睫毛抜去(しょうもうばっきょ)
ピンセットで、逆さまつげを抜きます。
しかし、まつ毛が生え変わる周期は約45日のため、しばらくするとすぐに生えてきます。
b. 睫毛電気分解(しょうもうでんきぶんかい)
生えてこないよう、逆さまつげの毛根のみ針電極で焼きます。
しかし意地の悪い毛根の場合は再発することも多く、約半数が再発します。
c. ブロック切除
毛根を含めた皮膚ごと一部を切除します。
再発は少なく、傷あともほとんど目立ちません。
逆さまつげを眼科で抜くのは良い?
結論から言うと、「睫毛乱生症」に対しては悪い治療ではありませんが、再発します。
また、睫毛内反症・内眼角贅皮や眼瞼内反症の場合はすべての睫毛を抜かなければなりませんし、根本的な治療にはなっておりません。
また、まつ毛をハサミで切ると、短くコシの強いまつげになり痛みが強くなります。
根本的な治療をしていただくことをお勧めしています。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
まつ毛を抜くことは、一部の逆さまつげ以外では行わない方がよいと思います。
ご自身の逆さまつげがどれに当てはまるのかは、眼科の診察をしないと分かりません。
気になる場合は、一度専門の医師を受診することをお勧めします。
眼瞼下垂とは
「眼瞼下垂」って、どんな病気?
眼瞼下垂とは、まぶたを上げる筋肉である挙筋腱膜やミュラー筋が、ゴム紐のように徐々に緩みまぶたが下がった状態をいいます。
使うほど弛んでいくのはマスクのゴムひもに似ています。眼瞼下垂がない場合、まぶたがしっかりと開いて茶目が完全に露出しますので広い視野を得ることができます。
眼瞼下垂の初期では、まぶたが下がり、二重幅が広がります。中期では、まぶたが黒目にかかるようになり、二重幅がさらに広がります。
そして、下がった瞼をしっかりと上げるためにおでこに力を入れるので、おでこにはシワが寄ります。また、おでこの筋肉に引っ張られて眉毛があがります。
後期になると、黒目はまぶたで半分以上隠れるようになります。
黒目の中心から上まぶたの距離の目安ですが、正常の場合は約4ミリメートル、初期の場合は2~4ミリメートル、中期の場合は2ミリメートル以下になります。
- 主な理由
- 加齢、コンタクトレンズ装用者、生活習慣病、一重まぶた
アクセス
Access
〒330-0062
埼玉県さいたま市浦和区仲町1-3-5
クリニックステーション浦和仲町 4F・5F
当院はJR浦和駅西口徒歩4分、伊勢丹の裏にございますクリニックステーション浦和仲町の4Fと5Fです。遠方からの患者様が通院しやすい立地です。
また、遠方から来院され、手術前後は浦和での宿泊を希望される患者様には、クリニックより徒歩3分の「ロイヤルパインズホテル浦和」や「浦和ワシントンホテル」などをご紹介いたします。
院長 勝村宇博
- 記事監修
- 院長 勝村宇博
- 当院は、私の専門分野であるまぶた(目もと)の手術や涙(ドライアイ、涙道閉塞)の治療を専門とした眼瞼下垂(がんけんかすい)や目もとの審美手術を中心に診療を行っています。 様々な学会に所属し、機能面と審美面両面とも妥協せずに治療を行っております。 また、レーザー治療など新しい治療も取り入れております。