私がまぶたや涙という…
まぶたが重い!原因は眼瞼下垂?
- 2021年6月6日
- まぶた(瞼)
私の外来には、まぶたに関する病気にお困りの患者さんが数多くいらっしゃいますが、患者さん本人が自覚している症状で一番多いものは、下記が挙がります。
「まぶたが開けづらい」
「まぶたが重い」
「まぶたが開けづらくていつも眠たい」とおっしゃる方もいます。
「まぶたが開きづらいのでおでこの筋肉まで一生懸命使うために、頭痛や肩こりがひどい」とおっしゃる方もいます。
今回は「まぶたが重い」について説明します。
原因
「まぶたが重い」原因で一番多いのは、加齢とともに筋肉が緩んでまぶたが下がる「加齢性眼瞼下垂」です。
筋肉の緩みは皮膚のたるみと同じで、下着のゴム紐に例えることができます。
つまり、経年劣化で徐々に悪化していきます。
また、一見「眼瞼下垂」に見えて実は「眼瞼皮膚弛緩症」という、加齢によりまぶたの皮膚がたるむ病気の場合もありますし、眼瞼下垂と眼瞼皮膚弛緩が混在している患者さんも多いです。
原因は加齢だけでなく、若い方でも「隠れ眼瞼下垂」や「先天性眼瞼下垂」を持っている方もいらっしゃいます。一重の方に多いです。
そして、まぶただけにとどまらず、脳腫瘍や脳動脈瘤などの脳疾患、顔面神経麻痺などの神経疾患、「重症筋無力症」などの全身疾患が隠れていることもあり、注意が必要です。私自身も、一年に1人くらいは他科の治療が必要な方に遭遇しますが、「急に」「片方」のまぶたが下がってきた場合は積極的に他科の疾患を疑うべきです。
ですから、まぶたが重いという自覚がある方は一度専門の医師の診察を受けていただいた方が良いと考えています。
https://youtu.be/Ssa10Uxg3Qo https://youtu.be/VB1H14r5yq0
自力で治るか?
「マッサージで治しましょう」
「たるみに効くツボがありますよ」
「まぶたを上げる筋肉をトレーニングで鍛えましょう」
などなど。
伸びてしまったゴム紐を、どこかを押したりトレーニングをすることで少しでも短くすることはできるでしょうか?この部分は「まぶたのたるみ」と全く同じです。
私はまぶたの手術を年間500件弱行っております。つまり「朝飯前」でなく「朝飯を食べるよりも手術をする回数の方が多い」のですが、マッサージやトレーニングで眼瞼下垂が改善した患者様を一人も見たことはありません。
改善しないだけでなく、マッサージをしたり皮膚を引っ張ったりするのは伸びきったゴム紐をさらに引っ張るのと同じ事ですから、逆に皮膚のたるみを悪化させていることになると思います。
そして、「マッサージで眼瞼下垂が改善されました!」と科学的に実証されている論文は今のところ一つもありません。
どんな時に手術を考えた方が良いのか?
眼瞼下垂や眼瞼皮膚弛緩症を保険で治療できるのは「まぶたが下がって視界の上の方が見づらい」場合です。
ご自身の手でまぶたを上げてみて、視界が広がったり明るくなる自覚がある方は手術した方が良いと思います。
特に視界に変化がない場合は、ご自身が見た目に気になるようであれば手術を受けた方が良いと思います。この場合は自費になります。
治療
脳疾患や神経疾患、内科疾患など他科に原因がある場合は原因の治療が優先されます。他科の疾患がない眼瞼下垂や眼瞼皮膚弛緩症は、現時点では手術以外に改善させることはできません。
伸びたゴム紐のハリを戻すにはゴム紐を切って短くし、縫い合わせる必要があります。
いずれの手術を受けるにしろ、ミリ単位での手術が必要になります。高倍率(4倍~10倍)の顕微鏡で手術を行っているクリニックでの施術を強くお勧めします。
手術内容に関しては詳細に説明している動画もありますので、もしよければご覧になってみてください。
https://youtu.be/BX3_gz9Y-v0 https://youtu.be/j8OiDx9LM6k
院長 勝村宇博
- 記事監修
- 院長 勝村宇博
- 当院は、私の専門分野であるまぶた(目もと)の手術や涙(ドライアイ、涙道閉塞)の治療を専門とした眼瞼下垂(がんけんかすい)や目もとの審美手術を中心に診療を行っています。 様々な学会に所属し、機能面と審美面両面とも妥協せずに治療を行っております。 また、レーザー治療など新しい治療も取り入れております。