私がまぶたや涙という…
まぶたのピクピクが止まらない!まぶたの痙攣とは?
- 2021年6月6日
- まぶた(瞼)
いきなりまぶたがピクピクして痙攣するようになったことはありませんか?
私の外来にも、一日数人はまぶたの痙攣で悩んでいる方がいらっしゃします。
ほとんどの場合はストレスが原因で時間とともに改善していきますが、稀に大きな病気が隠れていることがありますので注意が必要です。
今回はまぶたの痙攣についてお話しします。
まぶたの痙攣、原因は?
人間は「まぶたを閉じろ!」という命令が脳→神経→筋肉という順番で伝わり、まぶたを閉じていますが、この中のどこかしら異常をきたすと、まぶたがピクピクと痙攣するようになり、止まらなくなります。
異常をきたすのはほとんどの場合がストレスで、ストレスによるまぶたの痙攣を「眼瞼ミオキミア」と呼びます。悪い病気ではありません。特効薬はありませんが時間と共に改善していくことが多く、長くても1~2カ月で治ります。逆に言うと、2カ月以上痙攣が続いている場合は、病的な「眼瞼痙攣」の可能性が出てきます。
また、眼瞼痙攣だけでなく脳腫瘍が隠れている事もあり、脳の画像検査(M R I)を受けた方が良い場合もあります。
脳腫瘍などは生命に関わることもありますので、1〜2カ月くらいまぶたがピクピクするようなら、専門の医師の診察を一度受けることをお勧めします。
眼瞼痙攣とは?
脳の異常と言われていますが、現時点ではまだまだ謎が多い病気です。
眼瞼痙攣かどうかのチェック項目があります。
( )まばたきが多い
( )外に出ると、または屋内でもまぶしい
( )目を開けていられない(眼をつぶっていたい)
( )眼が乾く、しょぼしょぼする、痛いなど、いつも眼のことが気になる
( )人ごみで人やものにぶつかる、またはぶつかりそうになる
( )電柱や立木、停車中の車にぶつかったことがある
( )戸外の太陽や風、階段の昇降がとても苦手である(外出を控えている)
( )危険を感ずるので車や自転車の運転をしなくなった
( )手を使って眼を開けなければならないときがある
( )片眼をつぶってしまう
この中であてはまるのが1~2個であれば眼瞼痙攣の疑い、3個以上で眼瞼痙攣の可能性が非常に高い、ということになります。
また、リズミカルにまばたきをできるかどうか、というテストがあります(速瞬テスト)。
リズミカルにまばたきできれば問題ありません(眼瞼痙攣の可能性が低い)が、リズミカルにまばたきできない場合は眼瞼痙攣の可能性が高くなります。
これらの検査で眼瞼痙攣が疑われ、日常生活に支障が出ている場合は治療が必要になります。
眼瞼痙攣の治療
眼瞼痙攣の治療は、大きく分けると2つあります。
- ボツリヌス毒素注射
- 手術
ボツリヌス毒素注射は、美容の「しわ取り」にも使用されており、まぶたを閉じる筋肉(眼輪筋)の動きを止めることでまぶたの痙攣を改善させます。効果は翌日くらいから現れ、3~6カ月持続します。
データ上は80~90%の患者さんに効果があり、繰り返し注射することにより15~20%の患者さんは注射が不要になるとされています。
しかし、裏を返せばそれ以外の患者さんは注射を繰り返し打ち続けなければならないので、精神的な負担や金銭的な負担も出てきます。
ボツリヌス毒素注射を繰り返すのがつらい場合は手術になります。
手術は様々なやり方が報告されています。
具体的な手術方法は下記などが挙げられます。
- 眼輪筋切除術
- 前頭筋つり上げ術
- 皺眉筋切除術
- ADM手術
専門的になりますが、眼瞼痙攣は「強直型(閉じたまぶたを開けられなくなる)」と「間代型(つねにピクピクしている)」という2つのタイプがあるといわれています。そして「強直型」にはADM手術が、そして「間代型」には眼輪筋切除術が効果的と発表されている先生もいらっしゃいます。
しかし、いずれにしろ「絶対に治ると」断言できるものはまだありません。
当院では、ボツリヌス毒素注射を繰り返し行ってもすぐ元に戻ってしまう方に限り、相談の上で手術を行っています。
まぶたの痙攣 何科に行くべきか
まぶたの痙攣に関しては、脳神経外科、耳鼻科、形成外科が治療することもありますが、基本的には眼科になると思います。
それは、まぶたの痙攣とドライアイの症状が似ているからです。
まぶたの痙攣の中で、注射や手術が必要な「眼瞼痙攣」という病気がありますが、チェック項目の中に下記が挙がります。
( )まばたきが多い
( )外に出ると、または屋内でもまぶしい
( )目を開けていられない(眼をつぶっていたい)
( )眼が乾く、しょぼしょぼする、痛いなど、いつも眼のことが気になる
これらの症状はドライアイの場合でも出るため、「眼瞼痙攣」と診断されず「ドライアイ」と間違って診断されているケースも少なくありません。
そして、ドライアイかどうかは眼球表面をしっかりと診察しないと分かりません。
以上より、的確な診断を受けるには眼科に行った方が良い、といえます。
院長 勝村宇博
- 記事監修
- 院長 勝村宇博
- 当院は、私の専門分野であるまぶた(目もと)の手術や涙(ドライアイ、涙道閉塞)の治療を専門とした眼瞼下垂(がんけんかすい)や目もとの審美手術を中心に診療を行っています。 様々な学会に所属し、機能面と審美面両面とも妥協せずに治療を行っております。 また、レーザー治療など新しい治療も取り入れております。