「埋没法」は正しい手術法?
まぶたの手術と涙の治…
院長コラム
まぶたの手術と涙の治療を専門とした「かつむらアイプラストクリニック」。
当院では、年間約1600件のまぶたの手術を行っています。
一番多いのは眼瞼下垂手術で年間約1200件になりますが、前回ブログ「二重整形、埋没法はしないほうがいい?切開法の上手なクリニックの見つけ方」にも書いたように、「眼瞼下垂の手術時に、重瞼(二重)術切開法も行います。
つまり、眼瞼下垂手術を執刀すると重瞼(二重)術切開法を執刀することになるため、眼瞼下垂手術と重瞼(二重)術切開法を合わせると、年間約1300件の重瞼(二重)術切開法を行っていることになります。
全国的に見ても件数はかなり多いと思いますが、二重手術を行う際、私が絶対に守っているポリシーがあります。それは、以下になります。
「埋没法は絶対に執刀しない」
なぜでしょうか?これにはしっかりとした根拠があります。
「切開法は怖いから、とりあえずは埋没法を受けて元に戻ったら切開法も考えよう」
こんなことを考えている方も少なくないと思いますが、この考え方は危険です。
眼球の表面を診察した上で審美的にこだわった手術を行い、「機能も、見た目も。」を信条とするまぶたの専門医である私が、埋没法と切開法を徹底比較して解説します。
メリット | デメリット | |
埋没法 |
・手術時間が短い ・腫れない?? |
・再発する(取れる) ・眼球を傷つけることがある |
切開法 | ・長持ちする |
・元に戻すことができない |
埋没法の手術方法は、当院HPの以下のページに詳しく記載しております。
埋没法の最大のメリットとしてよく宣伝されている「術後腫れない(ダウンタイムが短い)」というポイントですが、これは正確な文言ではありません。
正確に言うと、埋没法のダウンタイムの程度は、以下の表現になります。
「たまたま太めの血管傷つけなければ腫れは少ないが、運悪く太めの結血管を傷つけると切開法以上に腫れる」
以前、当院ブログ「当院が重瞼術埋没法を絶対に行わない4つの理由」でも書きましたが、埋没法は目隠しをして手術しているようなものなので、手術に使う針が血管を傷つけるかどうかは全く分かりません。
そのため、手術時に太い血管に当たらなければ「腫れない」手術となりますが、たまたま太い血管に当たると内出血をおこして「腫れる」手術となります。
埋没法の唯一のメリット、それは「手術時間が短い」ということです。
糸を入れる箇所により術式にバリエーションがあり、「2点留め」「3点留め」「4点留め」などがあります。
「2点留め」という方法なら、非常に取れやすいものの片方5分くらいで終わります。
しかし、「4点留め」は、若干取れづらくはなりますが、片方10~15分くらいかかります。
ちなみに、当院の切開法は片方約18分くらいです。
この、手術時間3分の差というのは、そんなにメリットなのでしょうか?
「埋没法で10数万円支払ったのに、すぐ取れてしまいました」
当院を受診される少なくない数の患者さんが、このようなことをおっしゃいます。
世の中には「○○式重瞼術」という方法が星の数ほどあります。「取れづらい」などとアピールしているものもあります。
しかし、根本は一緒で「埋没法」は「埋没法」です。
画期的な術式は簡単には出てきませんし、画期的な術式なら、皆に認めさせるために必ず論文になりますので、「皆に知られていない画期的な術式」は存在しません。
以前のブログ「当院が重瞼術埋没法を絶対に行わない4つの理由」にも書きましたが、手術で作った重瞼(二重)が数カ月以上長持ちするのは「糸の力」によるものではなく、糸周囲にできたまぶた内部の傷あと(瘢痕:はんこん)によるものです。これは埋没法だろうと切開法だろうと変わりません。すべての手術において通ずる話です。
そのため、瘢痕を作成した部分が非常に少ない「埋没法」は、持続力が弱く、徐々に二重が浅くなります(取れてしまいます)。
「埋没法はナチュラル(くい込みが少ない)」という表現をされることがありますが、「くい込みが少ない= 二重が取れやすい」という原則は覚えておいてください。
「埋没法の手術にはあるが、切開法の手術にはないもの」とは何でしょうか?
それは、「まぶたの裏に糸を通す」という作業です。
まぶたの裏に糸が出た場合、まばたきをするたびに眼球とこすれ、眼球に傷をつける場合があります。
そして、なんと怖いことに埋没法の手術を行うと、このリスクは一生付きまといます。上の写真の「埋没法の糸により眼球が傷だらけになっている」患者さんも、術後約20年経過した頃に急にこのような状態になりました。
対して切開法は、皮膚側から糸をまぶたの中に入れ込みますので、眼球を傷つけることはありません。
切開法の手術方法は、当院HPの以下のページに詳しく記載しております。
先程も記載いたしましたが、手術で作った重瞼(二重)が数カ月以上長持ちするのは「糸の力」によるものではなく、糸周囲にできたまぶた内部の傷あと(瘢痕:はんこん)によるものです。
切開範囲が広いほど癒着(傷がくっつく)範囲が広く、術後の二重は長持ちします。
一度手術をすると、元に戻すことはできません。
私がまぶたの手術を専門にして約10年になりますが、今まで一度だけ「元に戻してくれ」と言われたことがあります。
術前にしっかりお話ししていたのですが、自分の顔の変化に自分の心がついていかなかったようです。
その時は、術後の腫れが落ち着いたら出来栄えに非常に満足され、私としてもうれしい結果となりました。
ただ、これは埋没法にも当てはまります。
埋没法も、術後1カ月以降で抜糸をしても、既に瘢痕が形成されているため、抜糸後もスジ(作った二重の残がい)が残ってしまいます。
手術は一生のうちに何回も受けるものではありません。
しっかりとした医師を選び、ご自身もしっかり心の準備をして、手術に臨んでください。
この記事が医師選びの参考になれば、これ以上の喜びはありません。
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院長 勝村宇博
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