私がまぶたや涙という…
偽眼瞼下垂(皮膚のたるみ)は保険適用になる?症状・原因と専門医による治療法を解説
- 公開日:2026年1月6日
- 更新日:2026年1月6日
- まぶた(瞼)
まぶたの手術と涙の治療を専門とする「かつむらアイプラストクリニック」。
ありがたいことに、埼玉県のみならず関東圏、そして全国から(稀ですが海外からも)当院を選んで受診してくださっています。
その中には「まぶたが重くて見えにくい」「夕方になると目が疲れる」こうした症状を感じて受診される方が少なくありませんが、ご自身で病気を調べた上で、かなりの割合で「眼瞼下垂(がんけんかすい)」という診断名を想定されています。
しかし、詳しく診察を行うと、筋肉の機能には問題がなく、余った皮膚が垂れ下がっているだけの「偽眼瞼下垂(ぎがんけんかすい)」であるケースが非常に多く見受けられます。
本記事では、眼形成外科を専門とする眼科専門医の視点から、偽眼瞼下垂の原因、保険適用の明確な基準、そして当院が「埋没法」を一切行わず、「眉下切開」や「おでこリフト」を提案する医学的根拠について解説します。
偽眼瞼下垂(皮膚のたるみ)とは? 眼瞼下垂との違い
偽眼瞼下垂とは、「まぶたの機能は正常だが皮膚が視界を遮る状態」
医学的に「眼瞼下垂(真性)」とは、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)やその腱膜が弱まり、まぶたの縁(瞼縁)自体が下がっている状態を指します。
対して「偽眼瞼下垂(皮膚弛緩症)」は、筋肉の動力は正常に保たれているものの、まぶたの皮膚が過剰に伸びて余り、それが黒目の上にカーテンのように垂れ下がっている状態です¹。
指でまぶたの皮膚をつまみ上げると視界が広がる場合は、この偽眼瞼下垂の可能性が高いと言えます。

主な原因(加齢、摩擦、コンタクトレンズ)
皮膚がたるむ主な原因は以下の3つが挙げられます。
-
1加齢
皮膚の弾力を支えるエラスチンやコラーゲン線維が加齢とともに変性・減少し、重力に抗えずに下垂します。 -
2摩擦
アトピー性皮膚炎や花粉症などで、長期間にわたり目をこする物理的な刺激が加わると、皮膚が伸展し、弛緩(たるみ)が進行します²。 -
3コンタクトレンズ
特にハードコンタクトレンズの長期装用は、眼瞼下垂(腱膜性)のリスクを高めることが多数の論文で報告されていますが³、着脱時にまぶたを外側に引っ張り上げる動作の蓄積は、同時に皮膚の伸展(偽眼瞼下垂)を引き起こす大きな要因となります。
偽眼瞼下垂は保険適用になる? 適用範囲の基準

「まぶたの手術はすべて自費(美容整形)ではないか」と疑問を持たれる方も多いですが、一定の基準を満たせば健康保険が適用されます。
「視野障害」などの機能的問題があれば保険適用
保険診療の原則は「病気の治療」です。
偽眼瞼下垂において、垂れ下がった皮膚が瞳孔(黒目)を覆い、視野が狭くなっている(視野障害がある)場合は、機能回復を目的とした手術として保険が適用されます。
一方で、視野に問題はなく、「見た目を整えたい」「二重の幅を広げたい」といった審美的な目的のみの場合は、自費診療の扱いとなります。
※具体的な費用の考え方については、記事後半で詳述します。
当院の治療方針:偽眼瞼下垂に対し「埋没法」は行いません
多くの美容クリニックでは、皮膚のたるみに対して「切らない眼瞼下垂」と称して埋没法(糸で留める手術)を勧めるケースがあります。しかし、かつむらアイプラストクリニックでは、偽眼瞼下垂に対して埋没法を行うことは絶対にありません。
眼形成外科医として、埋没法を選択しない理由
理由は、解剖学的な整合性と安全性に欠けるためです。
リスクと持続性
埋没法を含む眼瞼の手術には、角膜損傷や嚢胞形成などの合併症リスクが報告されています4。特にたるんだ皮膚を糸だけで支えることには無理があり、皮膚の重みに耐えきれず数年で糸が緩む(後戻りする)可能性が高いのが実情です。


当院では、「一時的な変化」ではなく、「より長期間持続する機能と構造」を提供するため、外科的に皮膚を切開・再配置する術式のみを採用しています。
専門医が提案する「偽眼瞼下垂」の3つの治療選択肢

当院では、単に皮膚を切るだけでなく、患者様の「眉毛の位置」や「希望する二重ライン」に合わせて、解剖学的に理にかなった以下の3つの術式から提案を行います。
選択肢1:眉下切開(眉下リフト)

【適応】 元々の二重ラインを活かしたい方
眉毛のすぐ下のラインに沿って切開し、余分な皮膚を切除して引き上げる手術です。
まぶたの皮膚は、まつ毛側が薄く、眉毛側にいくほど厚くなります。眉下切開では厚い皮膚を切除できるため、まぶたの皮膚の薄い部分が温存され、二重ライン付近が分厚くなるのを防ぎ、本来のまぶたの皮膚の薄さを保つことができます。
選択肢2:二重切開法(+眼瞼下垂手術)
【適応】 二重ラインを新しく作りたい、またはラインを変更したい方
予定する二重のライン上で皮膚を切開し、必要であれば二重ライン上で余剰皮膚を切除した上で二重を作成することで、皮膚がかぶさってこないようにする術式です。
【当院のこだわり:全切開時の必須処置】

皮膚を切除して二重を作るだけでは、切開線への食い込みが強くなりすぎたり、皮膚の重みでまぶたの開きが悪くなったりするリスクがあります。
そのため当院では、二重切開を行う際は必ず「眼瞼下垂手術(挙筋前転法など)」を併用します。これにより、食い込みを防ぎつつ、黒目がはっきりと露出する機能的な開眼を作成します。
選択肢3:おでこリフト(前額リフト)

【適応】 偽眼瞼下垂の中でも、特に「眉毛が下がっている(眉毛下垂)」方
【なぜ眉毛の位置が重要なのか】

偽眼瞼下垂の患者様の中には、おでこの筋肉が衰え、眉毛の位置自体が骨の縁より下がっている「眉毛下垂(びもうかすい)」を併発している方が多くいらっしゃいます⁵。
この状態で、眉下切開や二重切開でまぶたの皮膚だけを取ると、眉毛と目の距離が極端に近くなり、険しい目つきになってしまいます。
【当院の術式:生え際切開法】
当院のおでこリフトでは、内視鏡は使用しません。髪の毛の生え際に沿って切開し、頭皮とおでこの皮膚を広範囲に剥離して引き上げ、余分な皮膚をしっかりと切除します。
メリット
下がった眉毛を解剖学的に正しい位置に戻すことで、まぶたの被さりが根本から解消されます。
余った皮膚を直接切除するため、額の横シワを物理的に減少させることが可能です。
各手術の「ダウンタイム」と「傷跡」の比較
手術を検討する上で重要な、術後の経過について解説します。
※どの手術でも、術後の腫れ方は個人差が大きく、完全に腫れが落ち着くには数カ月かかります。

腫れ・内出血の期間
- 眉下切開
- まぶた(二重ライン)を直接操作しないため、目の形の変化への影響は比較的少ない傾向にあります。
目安: 術後の強い腫れは2~3週間程度。
- 二重切開
(+眼瞼下垂手術) - 二重のラインを作成し、内部の筋肉(挙筋腱膜など)も操作するため、3つの術式の中で最も腫れが目立ちやすい傾向があります。
目安: 術後の強い腫れは2~3週間程度。
- おでこリフト
- おでこ全体を手術するため、術後は一時的に腫れが出ますが、目の周りへの影響には個人差があります。
目安: 術後の強い腫れは2週間程度。
傷跡の目立ちにくさ
- 眉下切開
- 眉毛の下のラインに沿って縫合するため、数ヶ月経過すると眉毛に紛れて目立ちにくくなります。
- 二重切開
- 二重のライン上に傷ができるため、目を開けている時は完全に隠れます。閉じた時の傷跡も、丁寧な縫合により時間の経過と共に成熟し、白い線へと変化します。
一番傷あとが目立ちづらい方法です。
- おでこリフト
- 髪の毛の生え際に沿って切開・縫合します。丁寧に縫合を行うことで、時間の経過とともに生え際になじんで目立ちづらくなります。
費用と保険適用の考え方について
手術を検討される際、保険が適用されるかどうかは重要なポイントです。当院の基準を明確にご説明します。
保険適用の基本ルール:「機能障害」の有無
どの手術であっても、基本的な判断基準は以下の通りです。

- 保険適用
- 「まぶたが下がって見えにくい」「皮膚が被さって視野が欠けている」など、機能面が障害されている場合。
- 自費診療
- 機能面の障害がない、もしくはあっても軽度で、見た目の改善や審美的な要素が強い場合。
おでこリフトの保険適用について
- 基本は自費診療
- おでこリフトは、審美的な改善やエイジングケア(シワ取り)の側面が強いため、基本的には自費診療となります。
- 例外(保険適用)
- 「顔面神経麻痺」などの病気が原因で眉毛が著しく下がり、機能的な障害が出ている場合に限り、保険が適用されます。
「修正手術」と「保証」について

- 保険手術の修正
- 一度保険で手術を受けたからといって、修正も自動的に保険になるわけではありません。修正時も同様に「機能障害があるか」で判断します。
- 他院での自費手術の修正
- 他院で受けた自費での手術の修正は、法律的に保険を適用することはできないため、すべて自費診療になります。
- 当院での自費手術の保証(当院の強み)
- 当院にて自費で手術を受けられた場合、術後1年以内であれば、審美面での微調整や修正に追加料金はいただいておりません。責任を持って対応いたします。
保険適用可能な場合でも「自費診療」をご案内するケース
機能障害があり保険が適用可能な状態であっても、「美容的な仕上がりの完成度」を最優先され、機能改善の枠を超える結果を希望される場合には、初めから自費診療を選択肢としてお話しすることがあります。
まとめ:ご自身に最適な治療法を知るために
「まぶたのたるみ」の治療において最も重要なのは、その原因が「皮膚」にあるのか、「筋肉」にあるのか、それとも「眉毛の位置」にあるのかを正しく診断することです。
安易な埋没法に頼らず、解剖学的な根拠に基づいた手術(眉下切開、眼瞼下垂手術併用の二重切開、おでこリフト)を選ぶことが、より長期間持続する機能維持につながります。
まぶたの重みにお悩みの方は、ぜひ一度、当院にご相談ください。
引用文献
- 1. Fujiwara T, Matsuo K, Kondoh S, Yuzuriha S. Etiology and pathogenesis of aponeurotic blepharoptosis. Ann Plast Surg. 2001;46(1):29-35.
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11192030/) - 2. Nerad JA. Oculoplastic Surgery: The Requisites in Ophthalmology. St. Louis: Mosby; 2001.
(https://www.academia.edu/113187771/Oculoplastic_Surgery_The_Requisites_in_Ophthalmology_) - 3. Kitazawa T. Hard contact lens wear and the risk of acquired blepharoptosis: a case-control study. Eplasty. 2013;13:e30.
(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3690751/) - 4. Lelli GJ Jr, Lisman RD. Blepharoplasty complications. Plast Reconstr Surg. 2010;125(3):1007-1017.
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20195127/) - 5. Knize DM. An anatomically based study of the mechanism of eyebrow ptosis. Plast Reconstr Surg. 1996;97(7):1321-1333.
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8643714/)

院長 勝村宇博
- 記事監修
- 院長 勝村宇博
- 当院は、私の専門分野であるまぶた(目もと)の手術や涙(ドライアイ、涙道閉塞)の治療を専門とした眼瞼下垂(がんけんかすい)や目もとの審美手術を中心に診療を行っています。 様々な学会に所属し、機能面と審美面両面とも妥協せずに治療を行っております。 また、レーザー治療など新しい治療も取り入れております。
