待ち時間について 当…
まぶたの専門医師が伝える「眼瞼下垂の手術を受けて後悔しない医師の選び方」
「かつむらアイプラストクリニック」は 2021年9月1日に開院し、4年が経過しました。
当院は時間予約ですが、2時間近くお待ちいただく場合もあります。
なるべく待ち時間が少なくなるよう「医療クラーク」などのシステムを導入しておりますが、「待ち時間ゼロ」になることはないと思います。

それは、「手術や診察のクオリティを維持する」ためです。
ここで、少しばかり当院のシステムをご紹介いたします。
当院は4Fと5Fに分かれており、4Fは「診察スペース」、5Fは「手術・施術スペース」となっております。
そして、当院の診療スケジュールは「午前:外来、午後:手術」となっておりますので、4階を午後に使用することはありません。
つまり、効率だけ考えれば「他の医師を雇い、午前中手術、午後外来をしてもらうことで、患者さんの待ち時間は減るし売上げ的にも潤うし一石二鳥」なのです。
しかし、前回のブログ「かつむらアイプラストクリニックの『待ち時間』について」でもお伝えしたように、「手術や診察のクオリティを維持する」ために、当院は代診をたてることはしておりません。
すべて院長である私一人で「手術・診察」を行っております。

そして、なぜ効率を下げてまで「クオリティ」を最優先にしているのでしょうか。
それは、「手術を受けない方が良かった」と後悔してもらいたくないからです。
チェーン展開による「スケールメリット」とは?
ここで話は少しそれますが、「スケールメリット」についてお話ししたいと思います。
ビジネスにおいて「スケールメリット」はとても大事です。
- 支店を増やして規模を大きくし、物品を安く仕入れることで料金を安くする、利益率を高める。
- チェーン展開して広告をたくさん出し、より多くの方に知ってもらうことでブランド力がアップする。
また、ネットで店舗を検索することが当たり前になっている昨今では、
- チェーン店のホームページにお互いのリンクを貼り、Google様への検索対策をする
など、メリットは多数あります。
「ス〇ロー」の隣に、チェーン展開していない全く同じ料金体系の「回転ずしカツムラ」があったとしたら、全員が「ス〇ロー」を選ぶでしょう。
気づいていないだけで、私たちは「スケールメリット」による影響を多大に受けていると思います。

クリニックにおける「スケールメリット」とは?メリットとデメリット
いわゆる大手のクリニックは、「分院」と呼ばれる「支店」を出しています。
保険中心のクリニックは様々な規制を受けることもありますので一概には当てはまりませんが、自費診療中心のクリニックは支店を出すことで「スケールメリット」を得られます。
クリニックでの「スケールメリット」ですが、詳しくは以下のようになります。
- ボツリヌス毒素やヒアルロン酸などの材料を大量に安く仕入れることで施術料金を下げる。
- 電車広告をバンバン打ち、認知度を高める。
対して個人経営のクリニックはどうなのでしょうか?
ここで、チェーンクリニックと個人クリニックのメリットとデメリットを表にしてみます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
チェーンクリニック |
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個人クリニック |
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いかがでしょうか?

眼瞼下垂の手術を受けて後悔している?
当院には、他クリニックで手術を受けたものの納得できず、修正を希望されて来院される方が少なくありません。
その多くは、来院された時点では手術を受けたことを後悔しています。
私が修正手術をしている時に、前回手術の問題点が浮かび上がってきます。
問題点は以下のことが多いです。
- デザインが良くない
- 術式が良くない
- 重瞼(二重)の作成方法が良くない
これらは、担当医師の経験や知識、そして意欲の不足が原因であると思います。
さらに、眼瞼下垂手術後にはまぶたの左右差(仕上がりの左右非対称)やドライアイ(目の乾燥感)といった症状が生じ、これが「思った仕上がりと違う」という後悔につながるケースもあります。
特に目が開きやすくなることで一時的に乾きやすくなることがあり、ある研究では手術後に約78%の患者さんがドライアイ症状を訴えたと報告されています¹。
ただしこの症状は通常時間とともに改善し、術式や個人差によって頻度も異なります。別の報告では術後のドライアイ発症率は約5~7%程度に留まったともされています²。
また、手術後にまぶたの開き具合の過不足が生じて再手術(修正)が必要となる場合も一定数存在します。
実際、ある大規模調査では眼瞼下垂手術の約8.7%で追加の修正手術が行われており、その主因は挙上不足(残存下垂)や挙上し過ぎ(過矯正)でした³。
特に片眼のみ手術した患者さんでは、反対側にヘリング現象(片目の垂れまぶたを治すと反対側のまぶたが後天的に下がる現象)が起こり、約5%に追加手術が必要だったと報告されています³。

「受けてよかった」と思える手術を受けるには?
どのクリニックで受けるにしても、「受けてよかった」と思える手術を受けるには、「担当医師選び」に尽きると思います。
手術を受ける皆様の一人一人の人生が全く違うように、医師のキャリア、技術力、知識、意欲などもそれぞれ全く違います。
良い担当医師をどのように探すかが一番大事です。
質の高い手術を受けることができれば、患者様の生活の質(QOL)は大きく向上します。
実際、眼瞼下垂を手術でしっかり矯正すると視野が広がり、細かな作業や高い所の物を取る動作、テレビ視聴や読書など日常生活の様々な場面で「見えづらさ」が改善したとする研究報告があります⁴。
また、まぶたが十分に開くことで額の筋緊張が和らぎ、眉を持ち上げようとする負担が減る結果、肩こりや頭痛の軽減につながるケースも報告されています⁵。
こうした機能面・生活面のメリットは、「手術を受けてよかった」と感じられる最大のポイントと言えるでしょう。

当院は医師一人ですべての診察、手術を担当します。
当院は、患者様に「手術を受けてよかった」と思ってもらいたい、後悔してもらいたくないので、私がすべての診察や手術を担当します。
鼻の審美手術などは行えませんが、専門である「まぶた・涙道」に関しては年間1000件ペースで手術を行っております。
適用させられるものは保険で、させられないものは自費で手術をおこなっております。
ご相談も含め、手術を検討されている方は一度ぜひ来院ください。
参考文献一覧
- 1. 日本形成外科学会『眼瞼下垂症診療ガイドライン』2017年.
- 2. Bagheri A, Najmi H, Salim RE, Yazdani S. Tear condition following unilateral ptosis surgery. Orbit. 2015;34(2):66–71.
- 3. Chou E, Liu J, Seaworth C, et al. Comparison of revision rates of anterior- and posterior-approach ptosis surgery: a retrospective review of 1519 cases. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2018;34(3):246–253.
- 4. Richards HS, Jenkinson E, White P, Harrad RA. Patient reported psychosocial functioning following successful ptosis surgery. Eye (Lond). 2022;36(8):1651–1655.
- 5. Bahceci I, Simsek I. Association of upper eyelid ptosis repair and blepharoplasty with headache-related quality of life. JAMA Facial Plast Surg. 2017;19(4):293–297.
院長 勝村宇博
- 記事監修
- 院長 勝村宇博
- 当院は、私の専門分野であるまぶた(目もと)の手術や涙(ドライアイ、涙道閉塞)の治療を専門とした眼瞼下垂(がんけんかすい)や目もとの審美手術を中心に診療を行っています。 様々な学会に所属し、機能面と審美面両面とも妥協せずに治療を行っております。 また、レーザー治療など新しい治療も取り入れております。