今回は、眼瞼下垂の手…
眼瞼下垂の治療のおすすめは眼科?形成外科?それとも美容外科? ~決定版~
目次
まぶたを上げる筋肉が徐々に緩むことでまぶたがうまく持ち上がらなくなり下がる病気である「眼瞼下垂」。
インターネット上でも様々な情報が飛び交い、逆に混乱してしまうというお話もよく耳にします。
そして、眼瞼下垂の治療は眼科と形成外科、もしくは美容外科のどこに行った方が良いのか?という質問もたくさんいただきます。
今回は、すべての学会に所属し年間500件以上の手術と向き合ってきた経験から、それぞれの科の特徴についてお話しします。
眼科
眼科の最大の特徴は「眼球を診察できる」ということです。
まぶたは眼球と接し、密接な関係があります。
ですから、まぶた術後の眼球のトラブルも少なからずあります。
眼瞼下垂 埋没法術後に糸が眼球を傷つける場合がある
重瞼術埋没法は、「腫れない」といううたい文句で多くの若い方が受けている術式です。
また、若い方だけでなく、40~60代の方も「まぶたのたるみ取り」目的で手術を受けている場合も少なくありません。
しかし、埋没法は、どんなやり方をしても「腫れます」し、「後で二重が取れます」し、「もう一回手術を受ける時に前回入れた糸が邪魔になる」という、不十分な治療法です。
これはほんの一例ですが、数十年前に受けた埋没法の糸が眼球を傷つけて視力が下がってしまった方です。
黄色く染まっている場所は、全て埋没法で使用した糸による傷です。
はっきり言って傷だらけでした。
眼科の診察台で糸を確認して除去し、数週間後には完治しました。
眼球の痛みは数か月前からあり、他の眼科クリニックを受診していましたが糸は発見してもらっていませんでした。
別の科に行ったらなおさら発見は難しかったと思います。
眼瞼下垂 術後に眼球が傷つく場合がある
まぶたを上げ、視界を広げたりおでこの筋肉の緊張を取ることができる眼瞼下垂の手術ですが、術後に一時的にまぶたが閉じづらくなり、眼球が傷つくことがあります。
その場合「目がゴロゴロする」という自覚症状が出ます。
時間とともにまぶたが閉じやすくなり落ち着くことがほとんどですが、傷ついているうちは点眼による治療が必要であるため、眼科医の診断、治療が必要になる場合があります。
眼瞼下垂 眼瞼けいれんやドライアイなど眼科的な病気が隠れていることもある
「眼瞼下垂と思って眼瞼下垂の手術を受けたのに、まぶたがうまく上がらない」
こんな場合があります。
原因としては
- まぶたを上げる程度が不十分
- 眼瞼けいれんやドライアイなど別の病気が隠れていた
などがあります。これらに対応できるのは、専用の診察台(細隙灯顕微鏡)を有し眼球を細かく診察、診断、治療できる眼科だけです。また、眼科はすべての手術を顕微鏡を使用して行うため、非常に細かく丁寧な手術をすることができます。
しかし、眼科医は審美的な教育を受ける機会が少なく、審美に関する知識が十分でない場合もあります。
形成外科
形成外科の最大の特徴は「傷をきれいに治す」経験が豊富なことです。
顔面はもともと血流が非常に豊富なため傷あとが残りづらいのですが、傷を治すことに関しては、やはり専門である形成外科に一日の長があります。
しかし、専用の診察台(細隙灯顕微鏡)を有していないため眼球の診察は難しく、肉眼やルーペで手術を行う先生が圧倒的に多いのが現状です。
また、形成外科にとってまぶたは「扱う体のパーツの一部」であるため、まぶたを専門とした医師は非常に少ないといえます。
美容外科
「見た目」に関する、自費の施術を数多く経験していることを強みとしています。
自費の施術の経験数としては一番多いと思います。
上手な医師も多いとは思いますが、他の科から転科(他の科を辞めていきなり美容外科に転職する)してくる医師も多く、医師による当たり外れが非常に大きいと思います。
しかし、形成外科同様、専用の診察台(細隙灯顕微鏡)を有していないため眼球の診察は難しいといえます。
いかがでしたでしょうか?
それぞれに強みと弱みがあります。
最後に、これらの科のいいとこどりをしている分野をご紹介します。
眼形成
眼科の細隙灯顕微鏡などで眼球を診察した後に、見栄えなどにしっかりと配慮した手術を行う分野です。
英語ではoculoplasty といい、直訳すると「oculo(眼)+plasty(形成)」です。
上記全ての科の良いところを兼ね備えています。
最後に
どうでしたでしょうか?
手術を受ける際のご参考になれば幸いです。
院長 勝村宇博
- 記事監修
- 院長 勝村宇博
- 当院は、私の専門分野であるまぶた(目もと)の手術や涙(ドライアイ、涙道閉塞)の治療を専門とした眼瞼下垂(がんけんかすい)や目もとの審美手術を中心に診療を行っています。 様々な学会に所属し、機能面と審美面両面とも妥協せずに治療を行っております。 また、レーザー治療など新しい治療も取り入れております。