私がまぶたや涙という…
眼瞼下垂手術は痛い?麻酔の方法と痛みを抑える工夫を専門医が解説
- 公開日:2026年4月16日
- 更新日:2026年4月16日
- まぶた(瞼)

「眼瞼下垂の手術を受けたいけれど、痛みが心配で踏み出せない」——そのように感じている方も多いのではないでしょうか。
まぶたという繊細な部位の手術だけに、術中・術後の痛みに対する不安は当然のことです。
結論から申し上げると、眼瞼下垂手術は局所麻酔で行います。
まぶたは痛覚が敏感な部位のため、局所麻酔をしても痛みを感じやすい部位ではありますが、麻酔の方法や注入技術によって患者さんの快適さには大きな差が出ます。
この記事では、眼瞼下垂手術における痛みの実態と、当院が実践している低痛麻酔の工夫について、エビデンスを交えながら解説します。
眼瞼下垂手術ではどんな麻酔を使う?

眼瞼下垂手術は、ほぼすべての症例で局所麻酔(部分麻酔)によって行われます。
全身麻酔ではなく局所麻酔を選択する最大の理由は、術中にまぶたの開き具合を確認できるからです。
手術中に患者さんに目を開けていただき、左右のバランスや挙上量をミリ単位で調整する——これが精密な仕上がりにつながります。
Guoらの研究では、局所麻酔・鎮静麻酔・全身麻酔の3つのアプローチを比較した結果、いずれも眼瞼下垂の矯正自体には有効でしたが、局所麻酔では術中の微調整が最も容易であったと報告されています¹。
なお、鎮静麻酔では患者さんが眠ってしまうと術中に目を開けていただくことが難しくなるため、当院では局所麻酔を基本としています。
局所麻酔に用いるのは、一般的にリドカイン(キシロカイン)にエピネフリン(アドレナリン)を添加した薬剤です。
リドカインは約1分で効果が発現し、エピネフリンによって出血量が抑えられるため、術野がクリアに保たれます²。
手術中に痛みを感じることはある?

多くの患者さんが最も心配されるのは「麻酔の注射そのものが痛いのではないか」という点です。
実際のところ、まぶたの皮膚は体の中でも最も薄く(約0.5mm)、神経の分布が密な部位です。そのため、注射針が刺さる瞬間にチクッとした刺激を感じることはあります。
その後は麻酔が効き始めますが、まぶたは痛覚が敏感な部位であるため、麻酔をしていても手術操作により痛みを感じる場合もあります。
Suwan-apichonらの二重盲検クロスオーバー研究では、上眼瞼手術における麻酔の痛みを比較し、リドカイン+エピネフリンがプリロカイン+フェリプレシンよりも注入時の痛みが有意に少なく、さらに術後の腫れや内出血も軽減されたと報告しています³。
Rameshらのランダム化比較試験では、眼瞼下垂手術における局所麻酔について、皮下浸潤法と神経ブロック法のいずれにおいても高い患者満足度が得られることが示されています⁴。
当院では、この注射時の痛みをさらに軽減するために、以下の工夫を行っています。
痛みを軽減する6つの工夫

-
1極細針の使用
細い針を使用することで、組織を通過する際の抵抗が減り、刺入時の痛みが軽くなります。
Custerらの報告では、細径の針と緩やかな注入速度の組み合わせが、眼瞼周囲の局所麻酔における疼痛軽減に有効であるとされています²。 -
2麻酔液へのメイロン(炭酸水素ナトリウム)の添加
局所麻酔薬は酸性(pH 3.5〜5.5程度)であり、これが注入時の痛みの一因となります。
当院では麻酔液にメイロン(炭酸水素ナトリウム)を混合し、pHを中性に近づけることで注入時の刺激を軽減しています。
Vasovićらの288名を対象としたランダム化比較試験では、炭酸水素ナトリウムで緩衝した麻酔液は、緩衝していない麻酔液と比較して有意に低い疼痛スコアを示しました⁷。 -
3麻酔液の温度管理
冷たい麻酔液は注入時に痛みを感じやすくなります。当院では麻酔液を体温に近い温度に調整してから使用しています。 -
4緩やかな注入速度
急いで注入すると組織が急速に膨張し、痛みにつながります。時間をかけてゆっくり注入することで、痛みを最小限に抑えます。 -
5注射回数の最小化
注射を打つ回数が多いほど、痛みを感じる機会が増えます。
Laiらは、フィリングカニューレ技術を用いることで、注射部位の数を減らし、痛みと内出血の両方を軽減できると報告しています⁵。
当院でも、必要最低限の刺入回数で十分な麻酔効果を得られるよう工夫しています。 -
6手術用顕微鏡下での精密操作
手術用顕微鏡を用いることで、術野が拡大され、組織を愛護的に扱うことが可能になります。
Wongらの報告では、顕微鏡下での眼瞼下垂手術は、拡大視野による精密な剥離と止血が可能で、組織への侵襲が最小限に抑えられるため、術後の腫れや内出血が軽減されたとしています⁶。
組織へのダメージが少なければ、術後の痛みも軽くなります。
術後の痛みはどの程度?

術後の痛みについても、多くの患者さんが気になるポイントです。
一般的に、眼瞼下垂手術後の痛みは「軽度」に分類されます。
術後48時間が腫れのピークで、この期間に鈍い痛みや圧迫感を感じることがありますが、処方される鎮痛剤(ロキソニン等)で十分にコントロールできるレベルです。
術後の痛みを左右する要因として重要なのが、手術中の組織への侵襲の程度です。手術用顕微鏡を使用した精密な手術では、不要な組織損傷を最小限に抑えられるため、術後の痛みや腫れの軽減に直結します⁶。
「術後の痛み」経過の目安

- 手術当日〜翌日
- まぶたの重い感覚や鈍痛があります。冷却と鎮痛剤で対応します
- 術後2〜3日目
- 腫れがピークに達します。痛みよりも「つっぱり感」を感じる方が多い時期です
- 術後4〜5日目
- 腫れが引き始め、痛みもほとんど気にならなくなります
- 術後6〜12日目
- 抜糸を行います(術式により時期が異なります)。抜糸時にチクッとする程度です
- 抜糸後〜術後2週間
- 日常生活にほぼ支障がなくなります
まぶたの術後は、腫れの引き方は個人差が非常に大きく、1週間〜数カ月かかります。
痛みが怖い方が手術前にできること

眼瞼下垂手術を検討しているけれど、痛みへの不安が強いという方に向けて、いくつかのアドバイスをお伝えします。
十分な術前カウンセリングを受けることが最も大切です。手術の流れ、麻酔の方法、術後の経過を具体的にイメージできると、不安は大幅に軽減されます。
かつむらアイプラストクリニックでは、初診時に手術のシミュレーションを含めた丁寧な説明を行い、患者さんが十分に納得された上で手術日を決定しています。
また、術前の体調管理も重要です。睡眠不足や過度な疲労は痛みの感受性を高めることが知られています。
手術前日はしっかりと休息をとり、当日は体調の良い状態で来院されることをおすすめしています。
当院の麻酔へのこだわり

かつむらアイプラストクリニックでは、年間約1,800件の眼瞼手術を手術用顕微鏡下で実施しています。
この豊富な経験から、患者さん一人ひとりの痛みの感じ方に合わせた麻酔管理を行っています。
全症例で独自の低痛麻酔法を採用しており、麻酔液の組成・温度・注入速度・注入部位を最適化することで、手術の精度を維持しながら患者さんの快適さを追求しています。
ただし、まぶたは痛覚が敏感な部位であるため、これだけの工夫を行っても痛みを感じることはあります。
「まったく痛くない手術」とお約束することはできませんが、痛みを最小限にするための努力は惜しみません。
「痛みが心配で手術を迷っている」という方は、JR浦和駅西口のかつむらアイプラストクリニックへぜひ一度ご相談ください。
まぶたの状態を診察した上で、手術の適応や具体的な流れについて詳しくご説明いたします。
よくある質問(FAQ)
- 眼瞼下垂手術は全身麻酔ですか?
- いいえ、局所麻酔(部分麻酔)で行います。術中にまぶたの開き具合を確認しながら調整するため、局所麻酔が適しています。
- 麻酔の注射はどのくらい痛いですか?
- まぶたの皮膚は非常に薄く神経が密な部位のため、注射時にチクッとした痛みを感じることがあります。当院では極細針の使用やメイロン(炭酸水素ナトリウム)の添加など6つの工夫で注射時の痛みを軽減しています。
- 手術中に痛みを感じることはありますか?
- まぶたは痛覚が敏感な部位であるため、麻酔をしていても手術操作で痛みを感じる場合があります。その際は麻酔を追加するなど、適宜対応しています。
- 術後の痛みはいつまで続きますか?
- 術後2〜3日が腫れのピークで、鈍い痛みや圧迫感を感じることがありますが、処方される鎮痛剤で十分にコントロールできます。術後4〜5日で痛みはほとんど気にならなくなる方が多いです。
- 痛みが不安で手術を迷っています。
- まずは診察にいらしてください。手術の流れや麻酔の方法を具体的にご説明することで、不安が軽減される方がほとんどです。かつむらアイプラストクリニックはJR浦和駅西口から徒歩圏内にございます。
▶ 眼瞼下垂の症状や原因については、眼瞼下垂の症状・原因についてをご覧ください。
▶ 「自分も眼瞼下垂かも?」と思った方は、眼瞼下垂セルフチェックで簡単に確認できます。
▶ まぶたの厚みやたるみが気になる方は、眼瞼皮膚弛緩症(上まぶたのたるみ)の治療やおでこリフト(前額リフト)が適応となる場合もあります。眼瞼下垂手術との併施(別日)についてもご相談いただけます。
参考文献
- 1.Guo Z, Park DDH, Park K, Guo N. Three Different Anesthesia Approaches in Blepharoptosis Surgery. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2019;7(4):e2136.
- 2.Custer PL, Kent TL. Local anesthesia and anxiolytic techniques for oculoplastic surgery. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2019;35(Suppl 1):S40-S46.
- 3.Suwan-apichon O, Khemsara T, Vongkittirux S. A randomised double-blinded crossover study comparing pain during anaesthetising the eyelids in upper blepharoplasty: First versus second eyelid and lidocaine versus prilocaine. J Plast Surg Hand Surg. 2016;50(1):13-17.
- 4.Ramesh S, Maw C, Sutherland S. A randomised controlled trial to compare patient satisfaction with two different types of local anaesthesia in ptosis surgery. Orbit. 2009;28(6):388-391.
- 5.Lai CS, Lai YW, Huang SH, et al. Local Anesthesia for Surgical Procedures of the Upper Eyelid Using Filling Cannula: Our Technique. Ann Plast Surg. 2014;73 Suppl 1:S53-S56.
- 6.Wong CH, Hsieh MKH, Nohira K. Upper Eyelid Blepharoptosis Correction Performed Under the Operating Microscope. Aesthetic Plast Surg. 2025;49:1850-1856.
- 7.Vasović DD, Karamarković M, Stojičić M, et al. Buffered Versus Nonbuffered Local Anesthetics and Local Pain Scores in Upper Eyelid Blepharoplasty: Randomized Controlled Trial. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2023;39(6):602-605.
- 記事監修
- 院長 勝村宇博

院長 勝村宇博
- 当院は、私の専門分野であるまぶた(目もと)の手術や涙(ドライアイ、涙道閉塞)の治療を専門とした眼瞼下垂(がんけんかすい)や目もとの審美手術を中心に診療を行っています。 様々な学会に所属し、機能面と審美面両面とも妥協せずに治療を行っております。 また、レーザー治療など新しい治療も取り入れております。
