
逆さまつげ(睫毛内反症・眼瞼内反症)の手術のダウンタイムや術後の経過は、年齢や原因、選んだ術式によって異なります。若い方の逆さまつげと高齢の方の逆さまつげでは、そもそも原因が違うため、手術の方法も経過の見え方も変わります。
本記事では、かつむらアイプラストクリニック(JR浦和駅西口)で逆さまつげの手術を行った10代〜80代の6症例について、術前から術後6カ月前後までの経過を実際の症例写真とともに紹介します。「成長しても治らなかった逆さまつげは手術できるのか」「大人になってから手術しても大丈夫か」「再発したらどうなるのか」といった疑問に、症例を通してお答えします。
▶ 逆さまつげの種類や原因については、子どもの逆さまつげ(睫毛内反症)のページと大人の逆さまつげ(眼瞼内反症)のページで詳しく解説しています。
※ 症例写真は、片目を同じ画角(4:3)で切り出しています。術前の写真は眉の位置が術後とわずかに異なる場合があります。角膜の写真は、フルオレセインという色素で角膜の傷を染めて細隙灯顕微鏡で撮影したものです。
逆さまつげの原因は年齢によって違う

逆さまつげとは、まつげが眼球に向かって生え、角膜(黒目の表面)や結膜に当たっている状態です。原因は大きく3つに分かれ、それぞれ手術の方法が異なります。
子ども〜若い方の逆さまつげ(睫毛内反症)
お子さんの逆さまつげは、目頭のひだ(内眼角贅皮)や下まぶたの皮膚・筋肉の余りが、まつげを内側へ引き込むことで起こります。アジア人の子どもに多く、まつげが角膜をこすり続けると角膜の傷や乱視の原因になります(手術後に乱視が軽減したという報告があります¹)。成長とともに顔の骨格が変わって軽快することもありますが、10代後半〜20代になっても症状が残っている場合は、その後の成長で治る見込みはほとんどなく、手術が必要です。本記事の症例1〜4は、いずれも成長しても治らなかった睫毛内反症です。
大人の逆さまつげ(退行性眼瞼内反症)
60代以降に多い大人の逆さまつげは、加齢で下まぶたを支える組織(下眼瞼牽引筋腱膜)がゆるみ、まぶた全体が内側へ回転することで起こります。縦方向のゆるみと、まぶた全体の水平方向のたるみの2つが関わっており、ゆるみを修復する手術で治療します。本記事の症例5・6がこのタイプです。
睫毛乱生(部分的な逆さまつげ)
まぶたの向きは正常で、一部のまつげだけが眼球に向かって生えている状態です。本記事の症例には含めていませんが、毛根の処置で対応します。
逆さまつげの手術はどんな方法?

当院では、睫毛内反症には下まぶたの皮膚を切開してまつげを外に向ける「Hotz変法」を基本とし、目頭のひだがまつげを引き込んでいる場合には、目頭のひだを処置する「内眥形成(ないしけいせい)」を組み合わせます。当院の経験上、軽症に見える逆さまつげでも内眼角贅皮が悪さをしており、内眥形成が必要なケースは少なくありません。目頭のひだが強いお子さんにHotz変法のみを行った場合の再発率は33.3%、内眥形成を併用した場合は0%だったという研究報告があります²。目頭の線維組織を取り除く手術を併用した別の研究でも、術後12カ月の再発率が有意に低かったと報告されています⁵。
大人の退行性眼瞼内反症には、ゆるんだ下眼瞼牽引筋腱膜を短縮して縦方向のゆるみを取る「Jones変法」を基本としています。Jones変法だけでも9割の方は治癒し、再発した場合には水平方向のたるみを改善するlateral tarsal strip(LTS)を行います。Jones変法のみで再発率4.3%、水平方向のたるみの処置を組み合わせた方法では再発がなかったという報告があります³。
いずれも、まつげが眼球に当たって症状を起こしている状態の手術は、健康保険が適用されます。
1. 10代後半|逆さまつげ手術の術後経過(成長を待ったが改善しなかった場合)

症例|高校生になっても逆さまつげが続いていた場合
| 年齢 | 10代後半 |
|---|---|
| 術前の悩み | 幼いころから逆さまつげと言われ、成長で治ると聞いていたが、高校生になってもまつげが目に当たり、ゴロゴロ感と涙が続く。 |
| 治療法(術式) | Hotz変法+内眥形成(両側) |
施術の選択理由
- 成長とともに顔の骨格は変わったが、下まぶたのまつげは内側を向いたまま
- 目頭のひだ(内眼角贅皮)が残っており、まつげの内側を引き込んでいる
- 成長による軽快が見込めない年齢に入っている
→ 原因である目頭のひだと、下まぶたの皮膚・筋肉の余りをまとめて処置するため、Hotz変法と内眥形成を組み合わせました。目頭のひだを処置せずにHotz変法だけを行うと、引き込む力が残って再発につながります²。
術後の経過

明らかな合併症はなく、経過は良好でした。
ダウンタイム

術前
下まぶたのまつげが内側を向き、角膜に当たっています。

術後1週間
下まぶたの縫合部に沿って腫れと赤みがあり、軽い内出血があります。まつげはすでに外を向き、角膜に当たっていません。

術後3カ月
腫れはなくなっています。まつげの生え際のすぐ下に傷あとの赤みがわずかに残っていますが、まつげは安定して外を向いています。

術後6カ月
傷あとの赤みは落ち着き、目頭の形もなじんでいます。まつげは外向きのまま維持されています。
担当医からのアドバイス
お子さんの逆さまつげは成長で軽快することがありますが、高校生になっても症状が続いている場合は、その後の成長で治る可能性は低くなります。この年代は本人の自覚症状がはっきりしているため、症状の程度と角膜の状態を確認したうえで手術を検討する時期です。目頭のひだが残っている場合は、内眥形成を併用することで再発を防ぎます²。 内眥形成(目頭切開)を加えると顔の印象が変わるのではないか、目が寄りすぎて見えるようにならないか、逆さまつげの手術をすると涙袋がなくなるのではないか、といった不安をお持ちの方がいらっしゃいます。
手術の結果をすべて完璧にコントロールできるわけではありませんが、目頭を広げたいか広げたくないか、涙袋を残したいか残さなくても問題ないかなど、細かなデザインの調整をすることで、患者さんごとのご希望の結果になるべく近づくよう、手術用顕微鏡を用いたうえで、毎症例その時の自分のベストを尽くしています。
- 治療内容
- 睫毛内反症手術(Hotz変法)+内眥形成術(両側)
- 治療期間・回数
- 術後1週間・2カ月・6カ月を目安に通院(状態により変わります)
- 費用
- 保険適用(3割負担)。当院の料金は料金表をご確認ください
- リスク・副作用
- 再発、術後腫脹、内出血、傷跡の赤み・肥厚、目頭の形の変化、左右差 など
2. 10代後半|逆さまつげ手術の術後経過(上まぶたの手術もあわせて行った場合)

症例|下まぶたの逆さまつげに加えて、上まぶたのまつげも目に当たっていた場合
| 年齢 | 10代後半 |
|---|---|
| 術前の悩み | 子どものころからの逆さまつげで、まつげが目に当たってゴロゴロする。目の開きが小さく、眠そうに見えると言われる。 |
| 治療法(術式) | Hotz変法+内眥形成(両側)→ 上まぶたの逆さまつげ手術(二重形成)+眼瞼下垂手術(両側) |
施術の選択理由
- 下まぶたのまつげが内側を向き、目頭のひだがまつげを引き込んでいる
- 術前から軽い眼瞼下垂があり、上まぶたの開きが弱い
- 下まぶたが整うと上まぶたの下がりが目立ち、上まぶたのまつげも目に当たりやすくなる
- 上まぶたの逆さまつげの手術(二重形成)だけでは、術後にまぶたが若干下がることが多い
→ まず下まぶたの逆さまつげに対してHotz変法と内眥形成を行い、その後に上まぶたの逆さまつげの手術を行いました。本症例はご本人の都合により、下まぶたの手術から約5週間後に上まぶたの手術を行いましたが、基本的には2カ月以上あけたほうが、前の手術の腫れの影響が出にくく、良い結果が出やすいと考えています。傷の赤みや腫れが残りやすい時期に2番目の手術を行うと、その影響が仕上がりに出る可能性があるためです。
上まぶたの逆さまつげは、二重のラインを作ってまつげを上向きにする手術で治療しますが、当院の経験では、二重を作る手術だけを行うと術後にまぶたが若干下がることが多くあります。二重を作ること自体が目の開きを妨げる一因(開瞼抵抗)になるためです。そのため当院では、まぶたを上げる筋肉を調整する眼瞼下垂手術をあわせて行うことが多く、本症例でもあわせて行い、より開きの良い、きれいなまぶたになるようにしています。
術後の経過

いずれの手術も明らかな合併症はなく、逆さまつげの手術から7カ月、上まぶたの手術から6カ月の時点で、上下のまつげとも目に当たらず、目の開きも改善しています。一方で、上まぶたの二重が若干ゆるみ、いわゆる軽い「ハム目」(二重のラインの下の皮膚がややふくらんで見える状態)になっている点は、当院としての反省点です。ご本人は気にされておらず、再手術は行っていません。

角膜を染色して傷を調べる検査(フルオレセイン染色)では、術前は角膜の下のほうにまつげが当たってできた点状の傷(点状表層角膜炎)が染まって見えますが、術後7カ月では染まる部分がなくなっています。
ダウンタイム

術前
下まぶたのまつげが内側を向いています。上まぶたは黒目の上のほうまでかぶさり、目の開きが小さい状態です。

下まぶたの手術後1週間
下まぶたから頬にかけて黄色みを帯びた内出血が広がっています。内出血は見た目には目立ちますが、痛みはなく、2〜3週間で吸収されます。下まぶたのまつげは外を向いています。

上まぶたの手術後2週間(下まぶたの手術後7週間)
上まぶたの腫れはまだ残っていますが、目の開きは術前より大きくなり、上まぶたのまつげは目に当たっていません。下まぶたの内出血は消え、傷あとの赤みがわずかに残る程度です。

上まぶたの手術後3カ月(下まぶたの手術後4カ月)
上まぶたの腫れは落ち着き、二重のラインが安定してきています。下まぶたのまつげは外を向いたままです。

上まぶたの手術後6カ月(下まぶたの手術後7カ月)
上下のまぶたとも傷あとの赤みは落ち着いています。上下のまつげとも角膜に当たらず、目の開きも保たれています。
担当医からのアドバイス
逆さまつげは下まぶたに起こることが多いのですが、上まぶたのまつげが下を向いて目に当たることもあります。上まぶたの逆さまつげは二重を作る手術で治療しますが、二重を作るだけでは術後にまぶたが若干下がることが多いため、当院ではまぶたを上げる筋肉を調整する眼瞼下垂手術をあわせて行うことが多く、開きの良いきれいなまぶたを目指しています。毎症例その時の自分のベストを尽くしています。
- 治療内容
- 睫毛内反症手術(Hotz変法)+内眥形成術(両側)、上眼瞼の睫毛内反症手術(二重形成)+眼瞼下垂症手術(両側)
- 治療期間・回数
- 手術2回。各手術後1週間・2週間(上まぶたの手術)・2カ月・6カ月を目安に通院(状態により変わります)
- 費用
- いずれも保険適用(3割負担)。当院の料金は料金表をご確認ください
- リスク・副作用
- 再発、術後腫脹、内出血、傷跡の赤み・肥厚、目頭の形の変化、左右差、上まぶたの手術の過矯正・低矯正、ドライアイ など
3. 20代|逆さまつげ手術の術後経過(大人になっても残った睫毛内反症の場合)

症例|コンタクトレンズが使いづらく、常に目が充血している場合
| 年齢 | 20代 |
|---|---|
| 術前の悩み | 子どものころから逆さまつげ。まつげが目に当たるのを、コンタクトレンズを入れることでごまかしてきたが、根本的に治したい。 |
| 治療法(術式) | Hotz変法(両側) |
施術の選択理由
- 子どものころからの睫毛内反症が、大人になっても残っている
- まぶたの支えのゆるみはなく、原因は下まぶたの皮膚・筋肉の余り
- 目頭のひだは軽く、まつげの引き込みへの関与は小さい
→ 大人であっても原因が子どもと同じ「睫毛内反症」のため、下まぶたの皮膚を切開してまつげを外に向けるHotz変法を行いました。目頭のひだの関与が小さいため、内眥形成は行っていません。
術後の経過

明らかな合併症はなく、経過は良好でした。術後はコンタクトレンズなしでもまつげが目に当たらなくなっています。
ダウンタイム

術前
下まぶたのまつげが内側を向き、黒目の下のほうに当たっています。

術後1週間
下まぶたの縫合部に沿って赤みと軽い腫れがあります。まつげは外を向き、角膜に当たっていません。

術後3カ月
腫れはなくなり、傷あとの赤みはまつげの生え際のすぐ下で、まつげに隠れる位置です。

術後8カ月
傷あとの赤みは落ち着いています。まつげは安定して外を向き、コンタクトレンズも問題なく使用できています。
担当医からのアドバイス
「子どもの逆さまつげは成長で治る」といわれますが、治らないまま大人になる方も少なくありません。大人になってからでも、睫毛内反症の手術は保険適用で受けることが可能です。逆さまつげでコンタクトレンズが入れづらいという方もいますが、むしろ、まつげが目に当たるのをコンタクトレンズでカバーしてごまかしてきた、という方が多くいらっしゃいます。コンタクトレンズを外すと目がゴロゴロする、充血するという方は、逆さまつげが原因になっていないか一度ご相談ください。
- 治療内容
- 睫毛内反症手術(Hotz変法・両側)
- 治療期間・回数
- 術後1週間・2カ月・6カ月を目安に通院(状態により変わります)
- 費用
- 保険適用(3割負担)。当院の料金は料金表をご確認ください
- リスク・副作用
- 再発、術後腫脹、内出血、傷跡の赤み・肥厚、左右差 など
4. 20代後半|逆さまつげ手術の術後経過(目頭のひだが残っていた場合)

症例|大人になっても目頭のひだがまつげを引き込んでいた場合
| 年齢 | 20代後半 |
|---|---|
| 術前の悩み | 子どものころから逆さまつげ。目頭側のまつげが目に当たり、朝起きたときの目やにとゴロゴロ感が続く。 |
| 治療法(術式) | Hotz変法+内眥形成(両側) |
施術の選択理由
- 下まぶたのまつげが内側を向き、特に目頭側で角膜に当たっている
- 目頭のひだ(内眼角贅皮)が涙丘を覆っており、まつげを内側へ引き込んでいる
- 成人のため、成長による軽快は見込めない
→ 大人であっても、目頭のひだがまつげを引き込んでいる場合には、Hotz変法だけでは引き込む力が残ります。症例3との違いはこの点で、本症例では内眥形成を組み合わせました。
術後の経過

明らかな合併症はなく、経過は良好でした。

フルオレセイン染色では、術前は角膜の下のほうに点状表層角膜炎の染色がありますが、術後6カ月では消えています。
ダウンタイム

術前
下まぶたのまつげが内側を向き、目頭のひだが涙丘にかぶさっています。

術後1週間
下まぶたと目頭に腫れと赤みがあります。まつげは外を向いています。

術後2カ月
腫れはなくなり、まつげは安定しています。目頭の傷あとに赤みがわずかに残っています。

術後6カ月
傷あとの赤みは落ち着き、目頭の形もなじんでいます。涙丘が見えるようになり、まつげは外向きのまま維持されています。
担当医からのアドバイス
内眥形成が必要かどうかは、年齢ではなく「目頭のひだがまつげを引き込んでいるか」で決まります。症例3(20代)と症例4(20代後半)は年代が近く、どちらも大人になっても残った睫毛内反症ですが、目頭のひだの関与の違いで術式を変えています。目頭のひだを処置せずにHotz変法だけを行うと再発しやすいことが研究でも示されています²。
- 治療内容
- 睫毛内反症手術(Hotz変法)+内眥形成術(両側)
- 治療期間・回数
- 術後1週間・2カ月・6カ月を目安に通院(状態により変わります)
- 費用
- 保険適用(3割負担)。当院の料金は料金表をご確認ください
- リスク・副作用
- 再発、術後腫脹、内出血、傷跡の赤み・肥厚、目頭の形の変化、左右差 など
5. 60代|逆さまつげ手術の術後経過(加齢による眼瞼内反症の場合)

症例|片目の下まぶたが内側に入り、涙とゴロゴロ感が続いている場合
| 年齢 | 60代 |
|---|---|
| 術前の悩み | 左目の下まぶたのまつげが目に当たるようになり、涙とゴロゴロ感が続く。眼科で点眼を続けていたが改善しない。 |
| 治療法(術式) | Jones変法(左側) |
施術の選択理由
- 左の下まぶた全体が内側へ回転しており、まつげが角膜に広く当たっている
- 下まぶたを支える組織(下眼瞼牽引筋腱膜)のゆるみが主体
- 右目には症状がない
→ 縦方向のゆるみを取るJones変法で、下まぶたの向きを修復しました。水平方向のたるみの処置(LTS)は術後の腫れが強めのため初回では行わず、再発した場合に検討する方針としました。
術後の経過

明らかな合併症はなく、経過は良好でした。涙とゴロゴロ感は術後早期に消失しています。

フルオレセイン染色では、術前はまぶた全体が内側へ回転してまつげが広く当たっていたため、角膜の下半分に点状表層角膜炎の染色が広がっています。術後2カ月半では染色は消えています。
ダウンタイム

術前
左の下まぶたが内側へ回転し、まつげが角膜に当たっています。

術後10日
下まぶたの縫合部に沿って腫れと赤みがあり、軽い内出血があります。まぶたの縁は外を向き、まつげは角膜に当たっていません。

術後2カ月半
腫れはなくなり、下まぶたの向きは安定しています。傷あとの赤みはまつげの生え際のすぐ下で、まつげに隠れる位置です。
担当医からのアドバイス
大人の逆さまつげ(退行性眼瞼内反症)は、加齢でゆるんだ組織を修復しない限り、点眼やまつげを抜く処置では治りません。Jones変法だけでも9割の方は治癒します。研究でも、Jones変法のみで再発率4.3%と報告されています³。「年齢的に手術は大変では」とためらう方も多いのですが、局所麻酔の日帰り手術ですので、角膜に傷がある場合は早めのご相談をおすすめします。
- 治療内容
- 眼瞼内反症手術(Jones変法・左側)
- 治療期間・回数
- 術後1週間・2カ月・6カ月を目安に通院(状態により変わります)
- 費用
- 保険適用(3割負担)。当院の料金は料金表をご確認ください
- リスク・副作用
- 再発、過矯正(外反)、術後腫脹、内出血、傷跡の赤み・肥厚、左右差 など
6. 80代|逆さまつげ手術の術後経過(Jones変法後に再発し、LTSを行った場合)

症例|Jones変法から1年4カ月後に再発した場合
| 年齢 | 80代 |
|---|---|
| 術前の悩み | 右目の下まぶたが内側に入り、まつげが当たって涙とゴロゴロ感が続く。 |
| 治療法(術式) | 1回目:Jones変法(右側)→ 1年4カ月後に再発 → 2回目:lateral tarsal strip(LTS)(右側) |
施術の選択理由
- 1回目:下まぶたを支える組織のゆるみが主体と判断し、縦方向のゆるみを取るJones変法を行った
- 再発時:下まぶたを指で引っ張ると大きく伸び、水平方向のたるみが残っていた
- 水平方向のたるみが再発の主な原因と判断
→ 当院では、腫れを抑えるために初回はJones変法のみを行い、9割の方はこれで治癒します。本症例は1年4カ月後に再発したため、残っている原因である水平方向のたるみに対して、目尻側でまぶたを短縮して固定するLTSを行いました。水平方向のたるみまで処置した手術では再発が少ないことが報告されています³⁴。
術後の経過


1回目・2回目とも明らかな合併症はなく、経過は良好でした。再手術後5週間の時点で、下まぶたは目尻側でしっかり支えられ、まつげは角膜に当たっていません。

フルオレセイン染色では、1回目の手術前は角膜の広い範囲に点状表層角膜炎の染色がありましたが、再手術後5週間では染色は消えています。
ダウンタイム

1回目(Jones変法)術前
右の下まぶた全体が内側へ回転し、まつげが角膜に当たっています。

1回目 術後1週間
下まぶたに腫れと赤みがあります。まぶたの縁は外を向いています。

1回目 術後3カ月
腫れはなくなり、下まぶたの向きは保たれています。

1回目 術後1年4カ月(再発時)
下まぶたが再び内側へ回転し、まつげが角膜に当たっています。水平方向のたるみが原因と判断し、LTSを計画しました。

2回目(LTS)術後1週間
目尻側を中心に、下まぶたから頬にかけて内出血と腫れがあります。LTSは初回の手術より腫れが強めに出ますが、まぶたの縁はしっかり外を向いています。

2回目 術後5週間
内出血は消え、腫れもほぼ落ち着いています。下まぶたは目尻側で支えられ、まつげは角膜に当たっていません。
担当医からのアドバイス
大人の眼瞼内反症が再発した場合、多くは水平方向のたるみが残っていることが原因です。初回の手術でJones変法のみを行うのは、腫れを抑えて9割の方に十分な効果があるためですが、再発した場合にはLTSで水平方向のたるみを処置します。再手術は瘢痕のある組織を扱うため初回より難易度は上がりますが、原因を正しく見極めれば改善が見込めます。保険で手術を受けたあとの再手術でも、機能的な障害があると認められる場合は健康保険が適用されます。
- 治療内容
- 眼瞼内反症手術(1回目:Jones変法、2回目:lateral tarsal strip・いずれも右側)
- 治療期間・回数
- 手術2回。各手術後1週間・2カ月・6カ月を目安に通院(状態により変わります)
- 費用
- いずれも保険適用(3割負担)。当院の料金は料金表をご確認ください
- リスク・副作用
- 再発、過矯正(外反)、術後腫脹、内出血、傷跡の赤み・肥厚、目尻の違和感、左右差 など
逆さまつげ手術のダウンタイム中はどう過ごせばいい?

- 術後当日〜2日
- 圧迫と保冷剤でしっかり冷やします。術翌日から、洗顔・洗髪・シャワーは傷の部分も含めて可能です。
- 術後3日〜
抜糸(6〜12日目) - 入浴(湯船)・飲酒・軽い運動が可能です。デスクワークは術後3日目から可能ですが、この時期は腫れが最も強く、現実的にはメイクでカバーできる抜糸後が目安です。抜糸は術後6〜12日目に行います。
- 術後3週間まで
-
術後1週間からランニング程度の運動、ベースメイクが可能です。術後3週間からは激しい運動(水泳・球技など)、アイメイク、コンタクトレンズが可能です。創部を過度にこすることは術後3週間ほど避けてください。
- 術後6カ月まで
- 腫れや内出血は2〜3週間で落ち着くことが多いですが、非常に個人差の大きい部分です。症例2や症例6の術後1週間の写真のように、内出血が頬まで広がることもありますが、痛みはなく時間とともに吸収されます。傷あとの赤みはおよそ6カ月で落ち着くことが多く、1年ほど続く場合もあります。最終的な仕上がりは術後3〜6カ月が目安で、通院は術後1週間・2カ月・6カ月を基本としています。
逆さまつげ手術のリスク・合併症は?

逆さまつげの手術には、次のようなリスクがあります。
- 再発:睫毛内反症では目頭のひだ、退行性眼瞼内反症では水平方向のたるみが残っていると再発につながります。術前の見極めが大切です
- 過矯正(外反):大人の手術で、まぶたが外側に向きすぎる状態です。多くは一時的で、術後3カ月以内に落ち着きますが、続く場合は調整が必要です
- 腫れ・内出血:2〜3週間で落ち着くことが多いですが、個人差があります
- 傷あとの赤み・肥厚:およそ6カ月で落ち着くことが多く、1年ほど続く場合もあります。内眥形成を行った場合、目頭の形の変化や傷あとが残る可能性はゼロではありませんが、目頭の広がりや涙袋などのデザインを細かく調整し、手術用顕微鏡を用いて毎症例その時の自分のベストを尽くしています
- 左右差:腫れの引き方の違いで一時的に左右差が出ることがあります。術後6カ月以降に評価し、必要があれば調整します
術後の調整は、組織が落ち着く6カ月以降に検討します。ただし、まつげが角膜に当たって傷ができている場合は、時期を待たずに対応を検討します。
逆さまつげ手術に関するよくある質問

- 子どものころからの逆さまつげは、大人になってからでも手術できますか?
- 可能です。本記事の症例1〜4のように、成長しても治らなかった睫毛内反症は、10代後半以降であれば成長による軽快は見込めないため、症状があれば手術をおすすめしています。大人になってからでも健康保険が適用されます。
- 手術は全身麻酔ですか?
- 本記事の症例はいずれも局所麻酔の日帰り手術です。小さなお子さんの場合は、年齢や状態によって全身麻酔が必要になることがあります。詳しくは診察でご説明します。
- 逆さまつげの手術は保険適用ですか?
- まつげが眼球に当たって症状を起こしている状態の手術は、お子さんも大人も健康保険が適用されます。保険で手術を受けたあとの再手術でも、機能的な障害があると認められる場合は保険が適用されます。
- 目頭を切る(内眥形成)のは、どんな場合ですか?
- 目頭のひだ(内眼角贅皮)がまつげを内側へ引き込んでいる場合です。年齢ではなく、目頭のひだの関与の有無で判断します。当院の経験上、軽症に見えても内眼角贅皮が悪さをしており、内眥形成が必要なケースは少なくありません。目頭のひだを処置せずにHotz変法だけを行うと再発しやすいことが研究で示されています²。
- 大人の逆さまつげで、最初からLTS(水平方向のたるみの処置)を行わないのはなぜですか?
- LTSは効果が確実な一方で、術後の腫れが強めです。縦方向のゆるみを取るJones変法だけでも9割の方は治癒するため、当院ではまずJones変法のみを行い、再発した場合にLTSを行う方針にしています。
- 再発したら、どのくらい待ってから再手術を検討しますか?
- 瘢痕が落ち着く術後6カ月以降に検討します。ただし、まつげが角膜に当たって傷ができている場合は、時期を待たずに対応を検討します。
- 片側だけ手術はできますか?
- 可能です。症例5・6のように、大人の眼瞼内反症は片側だけに起こることも多く、その場合は症状のある側のみ手術します。両側に逆さまつげがある場合は、同時に手術することで通院や麻酔の負担を一度で済ませることができます。
まとめ

逆さまつげの手術は、原因によって術式が異なります。子どものころからの睫毛内反症では目頭のひだがまつげを引き込んでいるかどうかを見極め、必要であればHotz変法に内眥形成を組み合わせること、加齢による眼瞼内反症では縦方向のゆるみを取るJones変法を基本とし、再発した場合に水平方向のたるみを処置することが、長期的な安定につながります。
本記事で紹介した6症例のように、ダウンタイムは術後1週間で腫れや内出血が目立ち、2〜3カ月でほぼ落ち着き、6カ月で傷あとの赤みも落ち着くという経過が一般的です。
かつむらアイプラストクリニックでは、眼科専門医である院長が術前・術後に角膜の状態を細隙灯顕微鏡で確認し、手術の必要性と効果を角膜の状態で判断しています。また、手術用顕微鏡を用いて丁寧に細かく手術を行っています。お子さんの逆さまつげ、ご自身の逆さまつげでお悩みの方は、かつむらアイプラストクリニックへお気軽にご相談ください。
▶ 逆さまつげを抜き続けることのリスクについては、こちらの記事で解説しています。
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